東急こどもの国線、「線路を走る牛」の衝撃 白黒模様に車体を装飾、牛にしては速い?

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「うしでんしゃ」の側面は白と黒の牛模様になっている(記者撮影)
東急線キャラクター「のるるん」が牛に変身した「うしのるるん」が登場(記者撮影)

11月3、4日の両日に開催する「牧場まつり」には、東急線キャラクター「のるるん」が牛に扮した「うしのるるん」が登場する。また、2020年3月末までのイベント期間中は長津田駅と牧場の2カ所を巡るスタンプラリーを不定期で実施。スタンプを集めると、うしのるるんや、うしでんしゃのグッズがもらえる。

同園へのアクセスを担うこどもの国線は、長津田駅とこどもの国駅を結ぶ約3.4kmの単線で、全区間乗車しても7分程度の短い路線だ。みなとみらい線(横浜―元町・中華街)を運営する第三セクター、横浜高速鉄道が第3種鉄道事業者として鉄道施設を保有し、東急が第2種鉄道事業者として電車を走らせている。長津田駅の乗り場が東急田園都市線の改札の外にあるのはこのためだ。

かつてはこどもの国の来園者の足として開園時間に合わせたダイヤで運行していたが、宅地開発が進んで沿線人口が増えたことから、2000年に行き違いができる恩田駅を新設するなどして「通勤線化」。運行時間帯を拡大し、平日朝夕は約10分間隔、日中や休日は20分間隔で走るようになった。2017年度の同路線の1日平均輸送人員は1万2684人となっている。

「猫」に続く人気者になれるか

世田谷線で運行していた「招き猫電車」の外観(上)と車内の吊り手(撮影:尾形文繁)

東急はこれまでも動物を車体に大きく描いた車両を走らせている。三軒茶屋駅と下高井戸駅を結ぶ世田谷線に2017年9月、「幸福の招き猫電車」がデビューした。同路線の前身である玉川線(玉電)の渋谷―玉川間開通110周年を記念した企画で、沿線の観光名所、豪徳寺の招き猫にちなんだ愛きょうのある姿に仕上げた。

300系⾞両1編成(2両)の⾞体に招き猫のデザインをラッピングし、招き猫型の吊り⼿や、床に描いた猫の⾜跡など内装にもこだわった。運行は今年3月までの予定だったが、外国人観光客の間でも好評だったといい、期間を半年延長した。招き猫電車の効果もあって世田谷線の2017年度の1日平均輸送人員は5万7541人と前年比 2.4%増えた。

東急はうしでんしゃを猫電車と同様、客を招く人気者にしたい考えだ。同社の広報担当者は「うしでんしゃが話題になることでこどもの国線を知ってもらい、沿線外からも多くの人に訪れてほしい。電車で来てもらうきっかけになれば」と話す。こどもの国の鈴木英美副園長によると、来園者の6~7割は車で来園するといい「渋滞対策や環境の面からも、うしでんしゃをきっかけに電車で来てくれる方を増やしたい」と期待を示した。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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