思わず話したくなる!「終電」の失敗&成功談 残念な体験から心温まる話まで盛りだくさん

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一方、終電というピンチをギリギリ切り抜けることに成功した人も。

「上司のおごりで焼き肉店へ。おいしいお肉をつい食べすぎてしまったせいか、駅のホームで最終電車を待っていると突然、猛烈な腹痛に襲われた。トイレに行けば終電は逃がしてしまう。どうしよう、と脂汗を流しながら最善策を考えていると、ついに終電がホームに入ってきた。究極の選択を迫られたその瞬間、目の前の車両の扉が開き、そこには何とトイレが! 残った力を振り絞り電車に乗り込んだ」(30代男性・営業職)

「駅間の長いJR高崎線での話。快速電車の終電で降車駅の2つ手前で座れた。絶対寝ないと誓ったはずが、気がついたら降車駅を過ぎていた。次の駅は30キロ先で折り返しの電車はもちろんなし(タクシーで1万円コース)。仕方なく歩き出すが、つらくなり妻に電話。たまたま起きていたので迎えにきてくれまさに神様!でも家庭内での立場がさらに弱くなった……」(40代男性・販売職)

今回終電にまつわるエピソードを聞いて回っていると、終電が恋愛の進展に一役買ったケースもあった。

「同窓会の二次会が盛り上がり終電を逃してしまった。野球部だった男の子が深夜営業しているバッティングセンターに行こうと言うので、ついていくことに。ジャケットを脱いで、ネットまでかっ飛ばす姿に惚れてしまった」(30代女性・事務職)

「繁忙期になると、終電ギリギリまで会社で残業する毎日。自然と同じ沿線に住んでいる男性の同僚と一緒に終電で帰ることになり、お付き合いが始まりました」(20代女性・ウェブデザイン)

酒に酔った若者とおじさんが意気投合

こんな心温まるエピソードを車内で目撃した人もいた。「酒に酔った若い男性が、電車が揺れた拍子に中年のおじさんにぶつかった。2人は最初のうち口論していたが、おじさんが若者に『なぜ、そんなにかっかしているんだ』と聞くと、若者は『今日、失恋した』。おじさんは若者を慰めて、2人とも下車駅が同じということを確認すると、『よし、飲み直そう』と意気投合。肩を組んで仲よく下車しました」(40代男性、編集職)

『終電ちゃん』(藤本正二著、講談社モーニングKC)と『終電の神様 始発のアフターファイブ』(阿川大樹著、実業之日本社文庫)。画像をクリックすると終電エピソード大賞のサイトにジャンプします

実は、ここに紹介したエピソードは講談社『モーニング』誌で連載中の漫画『終電ちゃん』と、実業之日本社文庫『終電の神様』のコラボ企画「終電エピソード大賞」の関係者に取材して集めたものだ。エピソードを披露してくれた人に編集職が多いのはそのためだ。

この賞は、終電にまつわる思い出を募集するもので、大賞に選ばれたエピソードは『モーニング』で漫画化される。『終電ちゃん』は、終電を擬人化した漫画作品で、頼りになるしっかり者「中央線の終電ちゃん」、おっとりした「小田急線の終電ちゃん」など、沿線ごとに異なる3頭身のキャラクターが、終電に乗り合わせる人々を無事家まで送り届けるべく奮闘するストーリーだ。一方、『終電の神様』は阿川大樹氏のベストセラー小説。10月4日に続編の『終電の神様 始発のアフターファイブ』が発売された。

終電エピソード大賞の締め切りは10月31日。「終電」はさまざまなドラマを生む舞台だ。間に合っても逃しても、ささやかなドラマが生まれる。終電をめぐる思い出がある方は、ぜひこの機会に披露してみてはいかがだろうか。

藤森 文乃 編集者

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ふじもり あやの / Ayano Fujimori

実業之日本社・文芸出版部に所属。旅行ガイドブック、一般書編集部を経て文芸書の編集へ。担当書籍に『『少女の友』創刊100周年記念号』『桜の下で待っている』『彼方の友へ』『名探偵誕生』『終電の神様』など

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