お金でもめる「ギスギス夫婦」の5つの特徴 離婚を決断する前にやるべき家計診断とは?

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例えば、4人の子供がいるある夫婦は、10年ほど前に自宅を建てました。「夫に万が一のことがあったら」と、多額の死亡保険金を掛けたのです。そのため月々の保険料は7万円超でした。パソコンを使い自宅で仕事をしていた夫の趣味はバイク。しかしそこにお金をかけると、妻にガミガミ言われるので、近所で気楽にできるパチンコが趣味になっていったといいます。通う頻度が増えるとともに、毎月のパチンコ代が膨れ上がっていきました。

夫は妻に文句を言われても一向に辞めず、妻に内緒で数十万円の借金をしていたことが露見。妻の不安と怒りはついに爆発し、離婚を決断したと言います。

しかし、お話をよく伺うと子供たち4人のうち3人は成人し、末っ子はすでに大学2年生。また保険を見直して月々の保険料を下げれば、家計への圧迫が減ることも判明しました。結局、保険料を見直した結果、家計の支出も減り、それだけで妻の精神的な負担が軽くなりました。こうして余裕ができると不思議です。その後の夫婦の話し合いで「毎月使うパチンコ代の減額交渉」が成立。夫婦問題は無事解決しました。妻も夫への態度を反省し、お互いの気持ちを確認し合えたのです。

「ライフプランニング」で互いの将来を見据える

また別のある夫婦はFPにライフプランニングをしてもらい、今後の収支を客観的に見たところ、ある一定額以上を使うと、10年後の家計が苦しくなるのがわかりました。

実は、ここが分岐点です。多くのケースではここで冷静になり、話し合いをすることで問題は解決していきます。それまで感情的に「お金遣いが荒い」と妻が怒り、「うるさい、俺が稼いだ金だ。何に使おうが俺の勝手だ」という感情論だけで走っていましたが、冷静に「10年後子供にお金がかかるころ家計は赤字です」という話をすると、ほとんどの夫婦は「はっ」と気がつくものです。

そして、夫婦それぞれがどんなストレスを抱え、日々生活をしているのかをシェアすることで心が軽くなり、夫婦仲がいい方向に変わってきます。人間関係においてお互いをよく理解することは、とても大切なことです。さらに、貯金傾向だった家計は投資体質に変わることでiDeCo(個人型確定拠出年金)などに興味を持つ方もいます。夫婦で投資について会話ができると、目先のお金だけでなく、長期・中期の家計の収支を予測できます。そうなれば、無駄な喧嘩をしなくなり、不安は解消されていきます。

近い将来、教育費の無償化が実施される可能性も高いのですが、こうした浮いたお金を消費するのではなく、将来のためにお金を増やし、増やしたお金でさらに人生を楽しもうという心構えに切り替えられると、不安の少ない豊かな人生になります。

寺門 美和子 FP、夫婦問題コンサルタント

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てらかど みわこ / Miwako Terakado

大手流通業界系のファッションビジネス経験後、夫の仕事(整体)を手伝い主にマネジメントを担当するが、離婚。「人生のやり直し」を決意、自らの経験を生かした夫婦問題カウンセラー資格取得を目指す中でFPの仕事と出合い、ダブルで資格を取得。顧客には「からだと心とおカネの幸せは三つ巴」とつねに語る。独立系のFP集団「FP相談ねっと」認定FP。相続診断士・終活カウンセラーとしても活動を始め、人生後半の「お金と暮らしと夫婦問題」のコンサルタントとして活躍中。

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