メルカリ「インド最強学生」大量入社の舞台裏 知名度ゼロから始まった理系トップ大学攻略

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中国人学生を集めたコンテストもインドでのイベントと近しいテーマで行われた。応募者が提出した課題が審査され、700人を超える応募の中から約30人を選出。その全員を日本に招待し、メルカリの東京本社で事前に制作したプロトタイプを披露する最終プレゼン大会を行った。コンテストの翌日には早速、希望者に対し就職面接会も実施した。

このコンテストで準優勝となった、中国の名門・精華大学に通うヤン・ジエさんは、中国より空気汚染の少ない日本で働きたいという気持ちをもともと持っていたものの、今回コンテストに参加するまで、メルカリのことを知らなかったという。「中国にもメルカリに似たサービスはあるが、メルカリには匿名配送などプライバシー保護の機能があると知って、会社自体に非常に興味を持った」(ヤンさん)。

採用後のパフォーマンスが重要

ヤンさんは、コンテストの過程でメルカリのエンジニアから得られたフィードバックや評価も印象に残っているという。「初日の夜、サービスの使い勝手に関する非常に的確な助言をもらった。ホテルに戻ってプロダクトをブラッシュアップし、完成度の高い状態でプレゼンに持ち込めた」(ヤンさん)。そうした部分でも、学生は企業の実力を見定める。メルカリでは学生向けコンテストを行う際、エンジニア部門のマネージャークラスの人材を惜しみなく動員しているという。

インドでは内定を出した学生の親も呼び、日本への渡航の不安を取り除くための懇親会も開催した(写真:メルカリ)

海外人材の採用活動に勤しむメルカリだが、むろん「人への投資」は採用がゴールではない。インドでは、面接会での内定受諾者向けに、両親を交えたパーティを開催。山田CEOを含む経営陣も現地に出向いた。「母国を離れても孤立しないでやっていけるか、と経営陣に熱心に質問する親御さんもいた。こういう不安を解消することが、本人の働く姿勢にもつながる」(石黒氏)。

メルカリは現在、グローバルオペレーションチームという社内組織を増強中だ。主にメルカリアプリの現地化を支援したり、日本・アメリカ・イギリスそれぞれの拠点間のコミュニケーションを円滑にしたりといった役割を担う。それらに加えて現在は、外国籍社員の早期戦力化や日々の業務の支援も重要業務に加わっている。

世界中から優秀な学生を呼び寄せられても、彼らの実力を効果的に引き出せなければ意味がない。メルカリの本当の勝負はこれからだ。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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