メルカリ「インド最強学生」大量入社の舞台裏 知名度ゼロから始まった理系トップ大学攻略

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メルカリが現在サービスを展開するのは日本、アメリカ、イギリスの3カ国。インドには進出していないため、一般にメルカリの名を知る国民は多くないが、「IITではテック企業としてすでに有名」(サヒルさん)だという。実際、今回入社した外国籍社員の中でも、インド出身者が32人とダントツに多い。

知名度を一気に高めたのが、先述のハッカソンだ。インド西部の大都市ムンバイのホテルを会場として、参加者は2日間でインドの社会問題を解決するデジタルソリューションの考案から開発、発表までを行った。「(インドでの採用プロジェクトを)一気に立ち上げたかったので、宣伝も大々的に行った」(メルカリ・HRグループの石黒卓弥マネジャー)。現地の採用事情に詳しい代理店と組み、インド全国から参加者を募集。宣伝用のTシャツは500枚を配った。

最終的には1500人の応募を獲得し、事前の課題で30人に絞り込んだ。トップ層の学生には賞金を出したほか、上位10人は日本へのツアーに招待。メルカリ本社の見学や社員との交流の場を設けるなど、会社の理解促進に努めた。参加者がオフィスで撮った写真や、メルカリを訪れた感想をフェイスブックなどのSNSで拡散したことで、さらにメルカリの企業イメージが浸透するという循環を生んだ。

インドトップ大学では採用競争が熾烈

メルカリがここまで現地でのアピールに力を注いだ背景には、IIT特有の“就活ルール”がある。企業は、就職の担当部署が主導し1週間ほど開催する「面接会」で枠をもらい、その中で一気に面接から内定出しまでを行わなければならない。加えて、一度内定を承諾した学生はそれ以降面接会に参加できない。つまり、トップ層の学生を採用したければ、企業はなるべく早い日程で枠をもらう必要がある。

メルカリは海外大学の学生を対象にしたコンテストなどの開催を急激に増やしている。写真は中国人学生向けアプリ開発コンテストの様子(記者撮影)

ここでものを言うのが、前年の採用実績や待遇(給与)のよさ、企業そのものの知名度といったもの。メルカリが面接会に参加するのは今回が初めてだったため、待遇と知名度で勝負する必要があった。世界中のテック企業が競合となる中、メルカリは参加したIIT5キャンパスの面接会のうち、1都市で1日目の枠を、2都市で2日目の枠を獲得。結果として、当初目標の15人を大幅に上回る32人の内定承諾に至った。

サービス展開を行っていない地域でも、アピール次第で優秀な学生を採用できる――。そんな手応えを得たメルカリは今年、海外学生向けの説明会やイベントを相次いで開催している。9月中旬には、コンピューターサイエンスを学ぶ中国の学生向けに、本社でアプリ開発コンテストを実施した。

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