日本は「おもてなし観光医療」で世界一に 3大シンクタンクが読む2014年の日本①

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人口減少・少子高齢化時代を迎えて、国内のさまざまな市場の縮小が危惧される中、観光分野は有力な成長エンジンのひとつと目され、とりわけ医療観光は期待されています。

医療観光の需要は、まだごくわずか

ただし、三菱UFJリサーチ&コンサルティングが2011年に実施した独自調査(政策研究レポート「わが国における外国人医療の現状について」)の結果(下図参照)から推定すると、日本における外国人医療全体の数値は約4万6000人ほど。アンケートで捕捉されている医療観光の数値はその1%の約500人にすぎません。

アンケートの回収率の結果などを加味しても、外国人の医療観光者の受け入れ実績は、年間数千人ほどと、非常に小さいものにとどまっていると推定されます。

「平成23年病院報告」(厚生労働省)によると、日本の医療需要は1日平均の在院患者数が約130万人、外来患者数が約140万人ですから、これを足すと270万人。年間ではのべ約10億人弱にもなります。これに対して、現時点では、医療観光で生じている需要は、年間数千人にすぎないというわけです。

これまでも、医療観光については国、地方自治体、医療機関、旅行業者等の多様な主体が、それぞれの立場から、さまざまな取り組みを進めてきました。しかし、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの独自調査に基づく推計結果からは、残念ながら、まだその成果はさほど出ていないと考えられます。今後は各主体がその特性を生かして、必要に応じた連携を強めながら、一層の戦略的な展開を図ることが期待されます。

今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」に、医療法人による現地法人への出資が可能であることを明確化することが盛り込まれました。これは、医療観光における大きなイノベーションとなることが期待されます。

今後はこれが後押しとなって、日本の医療機関でも、海外に分院を設置して、必要に応じて本院に患者を送る仕組みの構築が進むと考えられます。これによって、まず現地で診察し、その情報を患者と共有した結果として、本当に日本を訪れて治療を受けるべき人を明確化できます。

わが国の医療資源も無限にあるわけではなく、必要な人にこそ提供すべきと考えられる中、現地の分院による診察段階を通すことで、医療資源を有効に活用した国際協力につながることが期待されます。

激化する国際競争をどう乗り切るか

前述のように、医療機関では、適切な外国人患者の受け入れ経路を構築することで、さまざまな課題に対応しながら、国際協力に寄与できるかたちが整ってきます。

一方、国・自治体や旅行業者が医療観光を振興する方策としては、これまで海外の富裕層に対して直接訪日を働きかける手法が主流でした。中国をはじめとした日本の周辺諸国の経済発展は目覚ましく、その成長力を取り込むという観点からは、中核的な存在である各国の富裕層に直接アピールすることは、当然のアイデアです。

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