鹿島、労務費高騰で利益なき繁忙 受注高は増額、営業利益は減額

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だが、建築部門については機械化といっても限界がある。型枠工などの技能労働者の育成には時間がかかり、すぐに人手を確保できない。それだけに、技能別にみると人件費がかなり高騰している分野もあるという。だが案件は多い。また、競争も激しい中で、労務費高騰をどの程度織りこんで、見積もりを出していくか。この点が、今後の受注に大きく影響していく。

すでに公共事業では社会保険などの経費も上積みした労務費を前提にした発注の動きがある一方で、応札ゼロという案件も散見される。また、民間の大型工事ではどのゼネコンに見積もりを出させても、工事費が高く、設備投資を断念する企業もあったという。人手不足をどう解消していくか、建設現場の効率化をどう進めていくのか。一企業や建設業界だけの問題にとどまらないが、労務費は当面、ゼネコン各社の収益圧迫要因になっていきそうだ。
 

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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