そして排気音こそ迫力があるが、一昔前のスポーティな車によくあったゴツゴツした感じはなく、乗り心地も快適そのものだった。パーキングブレーキが足踏み式ではなく、手で引き上げるサイドブレーキになっているのは、ドリフトのようなスポーツ走行を想定してのことだろう。
車好きではない人からすると、M3の外観はベース車の3シリーズセダンと大差ないように見える面もあるが、横に大きく張り出した前後のフェンダーをはじめとして、ただならぬ雰囲気を漂わせる。それもそのはずで全幅は1875mmもあり、1800mm程度の3シリーズセダンよりも大きい。この横幅では街中のタワーパーキングで対応できない場所が少なくなく、安心して停められる駐車場を慎重に選んだ。
慣れればどうということもないかもしれないが、フェンダーが大きく張り出しているので、ゲート式の有料駐車場で精算する際に、精算機に車両をうまく寄せるのも相当気を遣った。
駐車時のサポート機能も充実
ただ、パーキング・サポート機能によって、ギアを「R」に入れてバック駐車をしようとすると、助手席側のドアミラーが自動でいちばん下を映すように動く。モニターで車両の状況も確認できるし、車体に接触しそうな障害物がある場合はセンサーが察知して、しつこいぐらいに警告音を鳴らしてくれるので、車庫入れ時にまったく気づかずにこすったり、ぶつけたりということは、あまりないのだろう。この点も運転者をとことんサポートしている。
M3の走行性能の高さは、ドイツのアウトバーンで鍛え上げられた、ベースの3シリーズがしっかり造られているからこそだろう。高速道路を走行中に、3シリーズをはじめとするBMW車が、かなりのスピードで巡航している光景をよく見かけるが、そういうことなのかと合点がいった。
それにしてもM3の1200万円超という価格は、一般的な国産車の4~5倍以上だ。その価値はどこにあるのかといえば、もちろん走行性能の高さやステータスもそうだが、何より「安心・安全」を手に入れることにあるのだと思う。BMWに限らないが、自動車メーカーが高性能な車をつくる本質もそこにあるはずだ。
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