ユニクロ柳井氏が「グーグル」と手を組む理由 東京に「AIラボ」新設、激化するクラウド競争
検索やマップ、ユーチューブなど、グーグルが展開するウェブサービスのうち8つは、10億人以上のユーザーを抱えている。ここから日々集められる膨大なデータを基に、同社は機械学習のアルゴリズムに磨きをかけてきた。
画像認識や音声認識、翻訳、自然言語処理といったAIのシステムを、クラウド上で法人向けに提供する「クラウドAI」は、グーグルだけでなく、AWSや米マイクロソフトといった巨大テック企業が今最も激しく競り合う分野だ。ほかの法人向けサービスと同様に、処理したデータの量に応じて課金される仕組みで、各社はクラウド事業の起爆剤としたい考えだ。
グーグルは、巨大サービスを提供するため世界中にデータセンターを建設し、自前で海底ケーブルを敷くなど、インフラ整備に巨費を投じたほか、大量のデータを管理するうえで必要な技術開発もしてきた。それでも法人向けクラウドサービスに関しては営業体制の構築などが遅れ、世界シェアは現在8%。AWS(31%)やマイクロソフト(18%)の後塵を拝している(米調査会社カナリス調べ)。
AI技術でどこまで攻められるか
「創業者たち(ラリー・ペイジとサーゲイ・ブリン)は、AIの力をわかっていた。世界でも最先端のAI研究者を何千人と抱え、日々技術を進化させている。われわれのクラウドはそうした研究の成果を取り入れる“特権”を持ち、パッケージ化し、顧客企業が使いやすいツールにしている」。グーグル・クラウド部門のダイアン・グリーンCEOは、突破口としてのAIの優位性を強調する。
先端技術を導入するには、グーグルと顧客企業のエンジニア同士の協業が求められる。グーグルは顧客と密にかかわるエンジニアを昨年、世界で3倍に増やし、すでに営業担当者よりも人数が多いという。
また、アメリカ本社などでは、クラウド移行などのIT戦略を主導する顧客企業のCTO(最高技術責任者)を支援するOCTO(Office of the CTO)と呼ばれる部署を置いているが、このほど日本でも新設。さまざまな業界出身のCTO経験者を採用する。