「iPhone XS Max」、使ってわかった衝撃進化 写真やビデオ機能が驚くほど進化している

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iPhone XSシリーズで最も特筆すべきポイントは、心臓部となるA12 Bionicだ。昨年と同様、性能コア2つ、効率コア4つを備え、グラフィックスは1コア増えた4コア化、ニューラルエンジンは4倍の8コア化された。これらの実現は、スマートフォン向けチップとして初めて実現した7nmプロセスのおかげだ。ハードウエアとしてみれば、iPhoneが真っ先に到達した64ビット化と同様の大きなマイルストーンだ。

Geekbench 4で計測したiPhone XS Maxのグラフィック性能(右)と、処理性能(左)(筆者撮影)

手元のiPhone XS Maxをベンチマークすると、Geekbenchではシングルコア4778、マルチコア10812、Metalグラフィックス22585という数値を叩きだした。iPhone Xと比較して処理性能は15%、グラフィックスは48%ほど向上している。そもそも2018年モデルのAndroidスマートフォンはiPhone Xにも敵わなかったことから、iPhone XSシリーズはさらに、他のスマートフォンから処理性能で差を付けたことになる。

しかし説明してきたうえで言うのも申し訳ないが、こうしたハードウエア性能やマイルストーンを語っても、さほど多くの人にとっては響かないだろう。筆者ですら、1秒間に5兆回の機械学習処理ができる、と聞いても数字に圧倒される以外に特別な感情を抱かないからだ。

一方、アップルの説明は明快だった。優れたプロセッサーによってバッテリー持続時間を向上させるとともに、今まで撮れなかった写真やビデオを撮影できるようにした、というのだ。

明暗が混在したシーンで実力を発揮する

1回シャッターを切るごとに、前述のニューラルエンジンは画像処理プロセッサーと連携し、1兆回もの処理をこなすという。その結果得られるのは、明暗が混在したシーンでも、双方のディテールや色を正確に再現する「スマートHDR」や、ポートレートモードの「ボケ」調節だ。

スマートHDRは、一眼レフカメラで写真に触れていると、夢のような機能だ。明暗を両立させることはそもそも難しいうえ、もし暗いほうを明るく写したい場合はシャッタースピードが落ち、動きのあるモノがブレてしまう。今まで後から写真加工が必要だった作品を、ワンタップで撮れてしまうのだ。

iPhone XS Maxのポートレートモードの作例。逆光でも植物の緑色が確認できる(筆者撮影)

またポートレートモードのボケの調節は、iPhoneのカメラがどのように動作しているのか、もう少し詳しく知ることができる。新しいiPhoneのポートレートモードでは、ボケを数値モデル化して処理するようになった。そのため、後からぼけ具合を調節することができるようになったという。

ポートレートモードでシャッターを押した瞬間、背景がボケた写真が得られる。瞬時に数値モデルの処理が行われていることを表している。

イベントでアップルは、「New Era of Photography」、写真の新時代というフレーズを紹介した。センサーやレンズが入ったハードウエア、画像処理を行うソフトウエア、そしてよりよい写真を作り出すアルゴリズムが三位一体となって、iPhoneのカメラ機能が作られており、それを支えているのがA12 Bionic、というわけだ。作例をいくつか添付しているので、参照してみて欲しい。

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