「仕事だけの男」と「使えない女」の不毛な関係 男性は妻子を養う重圧から解放されていい

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やったことのない、得意でないことをするのは誰でも最初は少しおっくうです。

でも今のシステムが持続可能でないのは、総論としてはみんなわかっています。このままでは日本の生産性はずるずる落ちていき、若者は結婚せず、子どもは減る一方です。

働き方改革、長時間労働の削減が日本経済の生産性を上げ、女性の労働参画を進め、世帯収入を上げ、男性の職業移動の自由を増すのです。今までの長時間労働スタイルを変えることで、日本の職場は活性化します。

短い時間で結果を出そうとすれば当然、効率的に仕事を進めようと会社も従業員も考えるでしょう。無駄な仕事をどんどん削減しよう、やったほうがいいけれど効率の悪いことはやめようと価値観が変わるでしょう。また仕事以外の暮らしの世界を知ることは新しい発想を生む刺激になります。

「嫁ブロック」からも解放されていい

また男性が転職したい、起業したいと思っても専業主婦の妻が「ヨメブロック」する、あるいは夫が妻子を養う扶養責任を考えてあきらめることが減ります。妻がそれなりの収入を得ていれば妻子を養う重圧から男性は解放され、選択の自由度が増すのです。

その結果、生産性の低い分野から生産性の高い成長分野への労働移動が起こりやすくなります。ほかにも勉強する時間が取れる、心身が健康になり自身の活力が維持できる、結婚するためのデートの時間が取れる、などなどの効果も期待できます。

男性が仕事以外にすることがある、職場で時間内に結果を出す働き方をしなければならない。そうした環境は、日本の経済を活性化させるのです。

坂東 眞理子 昭和女子大学総長

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ばんどう まりこ / Mariko Bando

1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、1969年に総理府(現内閣府)に入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事などを歴任。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年から昭和女子大学教授、2007年から同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長を務める。著書に330万を超える大ベストセラーになった『女性の品格』ほか多数。

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