ドリンクバーが英語じゃないって知ってる? 日本で生まれた和製英語の素晴らしき世界

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“和製英語の進化形”にも注目してほしい。

ググる Google it

初めてこの単語に触れた時に意味がわからなかったけれど、単語の響きは好きだった。

Googleはカタカナで「グーグル」と書く。で、「グーグル」に「する」をつける。最後に「グーグル」の「ー」と「する」の「す」を外して、「ググる」の出来上がり。言語学マジック!! 命令形でもよく使われる。「ググって」はすてきな和製英語だ。英語では 「Look it up on the internet」とも言うけれど、いちばん簡単な言い方は 「Google it」。

和製英語の恐ろしい面

和製英語には恐ろしい面もある。同じ単語なのに英語とは違うというタイプの和製英語だ。

たとえば

アグレッシブ・ナイーブ
<本来の意味>
naive = 物知らず
aggressive = かなり強い人

褒め言葉じゃないから気をつけて!

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英語では、「アグレッシブ」とも「ナイーブ」とも言われたくないなぁ。日本に来て、ずっと「アンちゃんはナイーブやね」と言われて、かなりイヤだった。私は物知らずじゃない!と言い返したかった。でも日本語では、「ナイーブ」は、物知らずじゃなくて繊細の意味だ。それなら、確かにアンちゃんは「ナイーブ」だ。「アグレッシブ」も同じ。「You are so aggressive」と言われたくない。

「あなたは、とても攻撃的だ」なんて。スポーツのときに言われたらいい意味だ。日本語の「活発」に近い。でも、ほかのときは、かなり強い人という意味しかない。ノーサンキューだ。

和製英語は魅力的な日本語のコミュニケーションツールだ。同時に、和製英語は英語じゃないから英語圏で使うと言いたいことが通じない可能性が高い。

アン・クレシーニ 北九州市立大学准教授

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Anne Crescini

専門は言語学。アメリカのバージニア州出身。福岡県在住。研究と並行して、バイリンガルブロガー、スピーカー、テレビコメンテーターなどの活動をしている。西日本新聞にて日本の文化と言葉について博多弁で綴る「アンちゃんの日本GO!」を毎週、木曜に連載中。バイリンガルブログ「アンちゃんから見るニッポン」も話題。

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