なぜ高学歴者はがんの「民間療法」に挑むのか

がん患者に医者がどうしても伝えたい本音

理由の1つには、「病院で受けられる治療は誰でも同じ額である」という点が挙げられます。いいサービスを受けるためには高いお金を払う──これは当然のことのようですが、日本国内の病院で受ける治療に限っていえば、当てはまりません。

日本では「標準治療」という名前で、日本中ほとんどどこの病院でも、ほぼ同じ治療が受けられるのです。大金持ちの人も、生活保護を受給していて医療費を支払わない人も同じです。負担額は収入に応じて少しずつ変わりますが、治療内容は変わりません。そのことが、判断を誤らせている可能性があります。

「治療の効果は、お金を出せばもっといいものになるに違いない」

そう思った人が、高額ながんの代替医療を選んでいるのかもしれません。しかし、医療は基本的に規制産業です。すべての診断や検査、手術は1回いくらと決められていて、それはどんな熟練医が行っても1年目の研修医でも、また地方でも都会でも変わりません。参入障壁が高く、価格を自由に設定することは不可能で、おまけに医療機関の広告も法律で厳しく規制されているのです。

では、患者さんから「代替医療を受けたい」と言われた場合、医師はどう考えているでしょうか。ここからは私見と、知人の医師にインタビューした内容を交えてお話ししましょう。

私を含む多くの医者は、「がんに効くかどうかわからないので、なんとも言えない」と思っています。代替医療は、その多くが効果の検証をされていませんので、正確に言うと「効くとも効かないとも言えず、効果はわからない」のです。ですから、先ほど引用した研究の結果などとこれまでの医学常識から、「効かないのではないかな……」と思っているという程度です。

さらには、医者たちはその代替医療の名前さえ知らないことが多いのです。以下のグラフは、がんの治療を専門とする医師751人へのアンケート結果です。

出所)『医者の本音』

これを見ると、ほとんどの医師が「知らない」と答えていることがわかります。私もタラソセラピー、菜食療法などは初めて聞きました。医者側は代替医療についてもう少し学ぶ必要がありそうです。

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