JVCケンウッドで異例のCEO復帰劇 3期ぶりの最終赤字となり、またもや希望退職募集

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横浜市のJVCケンウッド本社。かつては日本ビクターの研究開発棟だった

およそ2年半ぶりのCEO(最高経営責任者)への復帰となる。

AV機器大手のJVCケンウッドは11月6日、河原春郎取締役会議長(74歳)のCEO就任を発表した。これまでCEOを務めてきた江口祥一郎社長(57歳)は社長職のままCOO(最高執行責任者)となる。

「私としても大変忸怩たるものがある」と河原CEO自身も認める、「異例の復帰」の背景にあるのが、リストラも一巡し再成長に向けて走り出したはずだったにも関わらず、急悪化した業績だ。

 経営体制の変更と同時に、同社は2014年3月期の業績見通しの大幅な下方修正も発表した。新たな予想は売上高3100億円(従来予想は3300億円)、営業利益10億円(同110億円)、そして当期純利益は55億円の赤字(同30億円の黒字)に転落する見通しだ。

さらに同社は今期中に45歳以上の幹部職を対象に、数百名規模の希望退職を募集する。これに伴い大規模なリストラ費用の計上が見込まれるため、最終赤字額はさらに大きく膨らみそうだ。2期続いた5円配当から再度無配に転落する。

カーエレとビデオカメラが苦戦

 今回、本業の稼ぎを示す営業利益が100億円の大幅未達となった要因は、同社中核のカーエレクトロニクスとビデオカメラの苦戦にある。

カーエレ部門とビデオカメラを含む光学&オーディオ部門は、それぞれ部門赤字への転落を見込む。会社側は両事業が今期苦戦する共通する理由として、急激な為替変動による国内市場での原価増を挙げる。カーエレの「彩速ナビ」、ビデオカメラの「エブリオ」とも、今2013年モデルの設計開発を開始したのは2012年4月。1ドル80円前後を想定して設計されたモデルの原価高は重く、収益を逼迫しているというわけだ。

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