牛角創業者が仕掛ける「1人焼き肉店」の勝算 業態開発のヒントは「いきなり!ステーキ」

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焼肉ライクを展開するダイニングイノベーション会長の西山知義氏。国内のみならず東南アジアなど海外への出店ももくろむ(記者撮影)

今後は新橋店の動向を見ながら、渋谷や新宿といった繁華街への出店も視野に入れる。さらに西山氏は郊外ロードサイドへの進出も狙う。「1人1200円で、4人家族で食べても4800円。こんな焼き肉店はほかにない。むしろライバルは回転ずしかもしれない」(西山氏)。国内では今後5年で300店の出店を目標に掲げる。

チェーン展開の課題は人手確保

外食業界では原材料費(Food)と人件費(Labor)を合わせた「FLコスト」を売り上げの6割程度に抑えることが目安とされるが、焼肉ライクでは原価率42%、人件費率20%を見込む。調理がほぼ不要であることから、売り上げに占める人件費は比較的小さい。アイドルタイムは2人、ピークタイムでも4~5人の店員で運営できるという。

とはいえ、多店舗展開するに当たって人手を確保するのは容易ではない。ある外食チェーン幹部は「アルバイトの応募があると、すぐに折り返し連絡して面接の約束を取るようにしている。そうしないとほかに取られてしまう」と話す。

焼肉ライクは比較的少人数で運営できるとはいえ、300店舗となると数千人規模のパート・アルバイトの確保が欠かせない。西山氏は「注文用タブレットの導入も検討している」と述べるなど、省人化投資も店舗展開で重要なカギを握るだろう。

これまでも1人焼き肉の専門店はあったが、数百店規模のチェーン店はまだ存在しない。牛角創業者の新たな挑戦を、消費者はどのように受け止めるだろうか。

佐々木 亮祐 東洋経済 記者

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ささき りょうすけ / Ryosuke Sasaki

1995年埼玉県生まれ。埼玉県立大宮高校、慶応義塾大学経済学部卒業。卒業論文ではふるさと納税を研究。2018年に入社、外食業界の担当や『会社四季報』編集部、『業界地図』編集部を経て、現在は半導体や電機担当。庶民派の記者を志す。趣味は野球とスピッツ鑑賞。社内の野球部ではキャッチャーを守る。Twitter:@TK_rsasaki

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