石破ビジョンは「実行可能な政策」といえるか

北朝鮮への対処で独自路線を表明したが…

むろん、9月に開かれる国連総会の際に米朝首脳会談を開催する可能性も残されている。南北共同連絡事務所の開設は一時的に延期されたにすぎないと見ることもできる。だが同じ民族の南北朝鮮間の合意でさえ、アメリカ大統領の気まぐれともいうべき心変わりで容易に変えられてしまうというのが現実だ。

しかも北朝鮮は国連安保理による厳しい経済制裁を受けており、日本はこれを遵守すべき義務がある。こうしたことを考えれば、日本が平壌に連絡事務所を開設し、独自に外交を展開することは、事実上困難ではないだろうか。

憲法改正を巡っても距離感

憲法改正についての見解も、安倍首相と石破氏の考えの隔たりは大きい。2018年の自民党大会で運動方針として憲法改正の実現を目指すとして決定した以上は改正案を速やかに国会に提出して「2020年の改正」を目指す安倍首相に対し、石破氏は「時代の変化に対応した憲法の改正は、他党との丁寧な議論を積み重ねながら、国民の理解を得つつ真正面から向き合う」として早期改正には懐疑的である。

なお安倍首相が鹿児島から帰京した翌27日朝、麻生派の甘利明政策検討委員長、棚橋泰文事務総長、松本純事務局長、鈴木馨祐政策検討委員会事務局の4名が官邸で申し入れた「志公会政策提言~『日本の底力』を解き放て~」には、「2019年夏の参議院選挙までに憲法改正の国民投票を実施する。そのための環境整備を全力で進める」と明記されており、安倍首相の早期改憲論を一層後押ししている。

このように見解が大きく異なるのは、日本を取り巻く国際環境がこれまで以上に複雑化すると同時に、時代が急速に変化している証左だろう。それに伴って為政者の責任も重くなっているといえるだろう。

読売新聞が24~26日に行った全国世論調査によると安倍氏42%、石破氏36%、野田氏10%の順で、石破氏への期待は思いのほか大きい。ただし、自民支持層に限ると、安倍氏が72%に対して石破氏が21%、野田氏が4%。9月20日に行われる総裁選に向け、これから論戦が本格化することになる。

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