日本発の夢技術「人工光合成」はここまで来た 太陽光と水からクリーンに「水素」をつくる
植物の「光合成」を人工的に再現
植物の「光合成」は、太陽光エネルギーを使って水を酸素と水素に分解する「明反応」と、生成された水素と大気中の二酸化炭素からデンプン・ブドウ糖などの糖質を合成する「暗反応」の2つの経路を経由する。
「人工光合成」は、植物の光合成と同じ反応を人工的に再現するものだ。
前半の「明反応」では、植物の場合、葉緑素(クロロフィル)が光エネルギーを吸収し、水を水素と酸素に分解する触媒の役割を果たす。人工光合成でこの働きをするのが、酸化チタンの粉末半導体などを使った「光触媒」だ。
後半の「暗反応」では、明反応で生成した水素(正確には水素イオンと電子)と大気中の二酸化炭素を、合成触媒を使ってギ酸(HCOOH)やメタノール(CH3OH)などの有機化合物に合成する。
半世紀前、東京大学大学院生の藤嶋昭氏と指導教官の本多健一助教授(いずれも当時)が、水に浸けた酸化チタンの結晶に紫外光を照射すると、水が分解され水素と酸素が発生することを発見した。
これが「ホンダ・フジシマ効果」と呼ばれる、光触媒に関する歴史的発見だ。以来、光触媒の研究をリードしてきたのは、わが国の研究機関や企業だ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら