テスラCEO大迷走、株式非公開化「撤回」の理由 イーロン・マスク氏のツイートで株価乱高下
すでに負債総額が230億ドル(2兆3700億円)近くまで膨らんでいるテスラとしては、これ以上負債を増やすことも避けたい。既存株主に株を持ち続けてもらうことも、前述の通り難しい。そもそもアナリストの多くは、「非公開化失敗のリスクを負うより、テスラ株を手放すべき」(英バークレイズ証券のブライアン・ジョンソン氏)といった悲観的な見方を示していた。
通年黒字化の必須条件としては何よりも、テスラ初の量産型セダン「モデル3」の生産を軌道に乗せることが先決だ。「モデル3(の生産)を増やし、黒字化を目指すことに集中しなければならないため、(非公開に手を取られることは)問題になる。財務面で持続可能でなければ、持続可能なエネルギーの普及を促すというわれわれのミッションは達成できない」(マスク氏)。
以上の理由を示したうえで、マスク氏は「一連の過程を経て、テスラの非公開化に必要な資金源は十二分にあったという思いがより強固になった」とも言及。この期に及んで非公開化を諦めていないことをほのめかす発言だが、こう書かざるを得なかった理由がある。
8月7日のマスク氏によるツイッター投稿以降、議論の的になっているのが、「(非公開化の)資金は確保した(Funding secured)」という表現が事実に基づくかどうかということ。同氏が提示した非公開化時の買い取り額がテスラ株の前日終値に2割ほどのプレミアムを付けた価格だったこともあり、ツイート後にテスラ株は前日終値比10%以上に高騰。一時取引が中止される事態に発展。テスラ株の下落で利益を得る空売りファンドには、大きな痛手となった。
ツイッター情報の正確性に疑問符
ただ、8月13日の公式ブログに記されたマスク氏の声明を見る限り、ツイートの時点で同社は非公開化に必要なファンドとの契約は未締結だった。複数の現地報道によれば、マスク氏の投稿が株価操作だとして、株主からの訴訟が次々と起こっている。
米国証券取引委員会(SEC)も、テスラの調査に乗り出した。資金確保に関する今回の言及は、自らのツイートの真実性を改めて補強しようとしたといえる。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら