撤去進むが全廃はできない…「大踏切」の現状 警手が消えた十条、「列車種別」表示の京成高砂
踏切警手がいる踏切であっても、完全に手動で操作されているわけではない。通常の踏切と同様に、コンピュータ制御で上げ下げされている。
人員を配置することで、コンピュータ制御と人間による目視というダブルチェックが働く。本来なら、踏切警手のいる踏切は単なるコンピュータ制御の踏切よりも安全性が高い。
しかし、同事件後、踏切廃止の流れは強まり、立体交差化が進められた。こうして、事故を契機に踏切警手のいる踏切も姿を消していった。
竹ノ塚駅の事故により踏切警手が消えてしまった
都内の大踏切にも、踏切警手のいる踏切はいくつかあった。たとえば、小田急線の新宿駅すぐそばには踏切があり、ここに踏切警手が配置されていた。現在、踏切警手は配置されていないが、開かずの踏切であることは今も変わっていない。
埼京線の十条駅隣にある踏切にも、踏切警手が配置されていた。十条駅の南側には文京区弥生から北区赤羽西までを結ぶ都道455号線が走っている。都道455号線は片側1車線の計2車線しかないが、自動車交通量が多い。そのため、十条駅における立体交差は長らく地元・北区の懸案事項になっていた。
十条駅の踏切が大踏切であることを物語るのが、設置された遮断桿が屈折式になっていることや踏切警手小屋が残されている点だ。
踏切脇に残る踏切警手小屋内で踏切を操作する姿は見られなくなったが、それでも職員が中で何やら作業していることが時折ある。
現在、同踏切は線路の高架化が進められている。
十条駅と同様に、竹ノ塚駅の事故により踏切警手が消えてしまったのが京成高砂駅に隣接する踏切だ。駅に隣接していた同踏切は、踏切警手が配置されなくなったが今も現役の踏切として稼働している。
一般的に、踏切警報灯はドライバー目線に合わせた高さに設置される。交通量が多い踏切では、遠くからでも踏切の存在を確認できるように頭上に警報灯が位置するタイプのオーバーハング型が設置される傾向にある。京成高砂駅の踏切には、オーバーハング型の踏切警報灯が設置されている。この遠くからでも識別できる大型の踏切警報灯が、京成高砂駅の踏切を大踏切たらしめている。
線路を南北に縦断する都道307号は、2車線ながら交通量は多い。また、バス通りにもなっている。そうした事情を配慮し、万が一にも事故を起こさせないためにオーバーハング型の警報灯が設置されているのだ。
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