「調査報告書は銀行主張をなぞっただけだ」

郷原信郎氏に聞く「みずほ銀行の問題点」

──委員会の調査として、どのようなアプローチが考えられたか。

やり方は2つあった。1つは、事情は把握していたが、今のところはいいんじゃないかと容認した可能性を追求する。もう1つが、問題を認識していたのに、きちんと対応しなかったという不作為の追求だ。みずほの本音を聞き出す努力をして、問題の組織的な背景などを、もう少し引き出せる可能性もあった。

独立性が感じられない

世間にはみずほが反社会的勢力(反社)に行った融資をすぐに回収せず、それを放置したと考えている人が多いのではないか。

しかし、暴力団排除条項が含まれていなかった過去の契約で、融資実行後に反社関係者の疑いがあるとわかった場合、どういう理由で取引を解消するのか。「アンタ、暴力団でしょ。カネ返せ」というわけにもいかないだろう。

これは単純な問題ではなく、世間で誤解されている部分がある。報告書はこうした誤解も解消できていない。世の中が思うほど簡単でないというのは、みずほの1つの言い分かもしれない。当事者が言えないなら、第三者委員会で触れることも必要だ。

──委員会の設置時、「結果が妥当とお墨付きを与えることを目的とする委員会のようにも思える」と指摘していた。

報告書には、3人の委員だけでなく、(調査補助者として)ほかにも弁護士が何人も入って調査をしたと書かれている。そうであるならば、委員会を設置した段階で会見を開き、こうした態勢で調査に臨むと説明する必要があった。

私が第三者委員会の委員長に就く時には、必ず会見をしている。メッセージを発し、委員会が独立した立場で客観的に調査するという信頼を確保しなければならない。委員会の立ち上げ会見はせず、報告書の会見は日本銀行内にある記者クラブの一室。委員の後ろに記者が座るような雑然とした中で会見をしていて、第三者委員会の独立性がまったく感じられない。あの会見には愕然とした。

(撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2013年11月9日号

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