「事故物件」借りたらマジで壮絶にヤバかった 「事故物件住みます芸人」の物件選びに同行

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押入れは真っ白にペンキで塗られ、天袋のふすまは外されてどこにもなかった。

お風呂兼トイレに行くと、現在リフォーム中で壁に大きな穴が開いていて、配管が丸見えになっていた。ただこれは業者がしっかりと直してくれるのだろうから問題はない。

問題は壁にあった。

無数のキリンのスタンプ(写真:筆者撮影)

キリンのスタンプが無数にペタペタと押されていたのだ。

「え? ここにもキリンが?? 何これ……」

さすがに松原さんも少し動揺しているようだった。その様子をみて、不動産屋さんが、

「ね、やっぱりさすがにヤバい物件ですよね、ここは……。僕、1人だったら入れませんもん。やめときますよね?」

というとやはり間髪入れず、

『事故物件怪談 恐い間取り』(二見書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「いや、ここに住みます!!」と答えた。不動産屋さんは目を丸くして「ええ? 本当ですか?」と驚いていた。

契約をするために、不動産屋の事務所に戻ると、中から別の職員が飛び出てきた。

「事務所に入らないで!! そこで止まって!!」

と怒鳴られる。職員は手に白い袋を持って近寄ってきた。そして僕らに、バサーっと塩を振りかけた。

「いやあ、何かあってからでは遅いですからね。たっぷり塩をかけたから、もう中に入っていいですよ」と言われた。いやいや、物件見せてもらって塩かけられることってありますか?

無事契約、新たな事故物件の住人に

そして松原さんは無事契約を済ませ、新たなる事故物件の住人になることができた。

しばらく経った後に、住み心地はどうなのか聞いてみた。

●部屋にクーラーがないため、死ぬほど暑い
●リフォーム業者が手抜きをして、施工の際に出た瓦礫を風呂桶の下に隠していった。そのため階下のヨーロッパ喫茶のキッチンに水漏れして大変だった
●何もいじってないのに、テレビのチャンネルがパチパチと変わる
●屋上に開かずの間があるのを発見した

と、順調に不可解なことや、困ったことが起きているようだ。

松原さんと一緒に行動して、

「頑張れば事故物件に住むことができる」
ということがわかった。

興味がある人は不動産仲介業者で、

「事故物件に住みたいんですけど?」

と聞いてみてはいかがだろう。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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