北朝鮮は隣国の韓国をもっと信頼すべきである−−韓昇洙・韓国首相

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韓国は1948年の建国時点では、世界で最も貧しい国の一つであった。朝鮮戦争直後の53年の1人当たりGDPは67ドルにすぎなかった。一方、当時の北朝鮮経済は韓国経済よりもはるかに強かった。北朝鮮は豊富な資源を持ち、韓国に電力を供給していた。大半の産業は北朝鮮にあり、韓国は農業国にすぎなかった。それが現在では、韓国のGDPは北朝鮮の40倍まで拡大した。

この格差は異なった歴史的な背景から生まれたものではない。なぜなら両国は一つの国として何千年もの歴史を共有しているからである。格差の拡大は、政策の違いを反映しているのだ。

北朝鮮は計画経済と時代遅れのイデオロギーに固執するあまり、悪循環の罠に陥った。その結果、食糧供給が不安定になり、経済成長が低下し、マイナス成長になった年も少なくない。それにもかかわらず、北朝鮮は改革を行う意思はまったくない。それどころか、核兵器を開発し、朝鮮半島の安定を脅かし、自国の経済に大きな負担を強いている。

韓国は繁栄を享受しており、経済的に困窮する北朝鮮に対して少しずついらだちを感じ始めている。おそらく人種や歴史を共有する国の間で、これほどまでに大きな経済格差が存在する例はほかにはないだろう。そうした格差が不安定や対立の原因になる危険性がある。

経済的な欠陥を克服し、社会的な安定を取り戻すために、北朝鮮は核開発計画を放棄し、改革と開放に向かって進む以外に選択の余地はない。韓国は、そうした戦略的決断をするように北朝鮮を説得している。わが国は喜んで北朝鮮が経済成長を達成する手助けをするつもりである。経済成長こそが平和と安全保障の源なのである。北朝鮮の経済復興は、朝鮮半島の永続的な平和にとって極めて重要である。

南北朝鮮と米国、ロシア、中国、日本で行う6カ国協議に従って、韓国政府は北朝鮮と南北経済共同体を創設することを望んでいる。わが国は、北朝鮮が1人当たりの所得を3000ドルにまで引き上げるのを支援する用意がある。この目的を達成するためにわが国は教育、金融、産業インフラ、生活の質、経済発展の5分野で共同プロジェクトを実施するつもりである。しかし、こうしたプロジェクトを実施するには、両国をまたぐ諮問機関のような制度的な枠組みが必要である。

もちろん、経済援助や投資だけでは低開発と貧困という悪循環から抜け出すのに十分ではない。国民経済は、必要なインフラや十分な競争、適切な政策が実施に移されて初めて持続的な成長に向かって離陸できる。そうした持続的成長の条件を構築することがいかに困難であるかはよくわかっている。なぜならわが国も同様な苦しみを味わってきたからだ。

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