チェコ「鉄ちゃん」イベントは和気あいあいだ みんながマナーを守って楽しむ「お祭り」
首都プラハの西約45kmに位置するルズナ。ここに、チェコ鉄道が直轄する鉄道博物館がある。1999年の設立以来、蒸気機関車や旧式のディーゼル機関車など歴史的価値のある車両をメンテナンスして動態保存しており、車両の保存とともに次世代への技術継承という側面も併せ持っている。
5月初旬に、プラハから近郊の町まで蒸気機関車が往復運転するイベントが開催された際、沿線で現場の様子を観察してみた。
イベントの数日前からビニールシートや三脚を置いて場所取りをするといった光景は見られず、列車が通過する30分前でも人影はまばらで、筆者がほぼ一番乗りだった。その後、列車通過予定時刻の20分ほど前になると、徐々に人が集まりだした。
特別列車が運転された路線は、通常は1時間に上下各1本のレールバスが走る程度のローカル線。列車が来ないと思ってか、撮影地への移動に線路上を堂々と歩く人が多く見られ、安全上のルールは他の国と比較しても緩く、まだ確立されていないようにも思えた。線路へ近付いて撮影しようと思えば簡単に近付くことができる。日本のように、沿線が立錐の余地もないほど多くの人で溢れかえることがないからこそ、許される側面もあるのだろう。
西欧からも多くのファンが集結
次第に増えてきた人々の話し声を聞いて気付いたのは、チェコ語のほかに英語やドイツ語が混じっていることだ。隣でフィルム式の大判カメラを構えていた男性に話しかけてみると、ドイツのライプツィヒから撮影に来たとのこと。ドイツでも蒸気機関車の保存運転は盛んだが、珍しいチェコの大型蒸気機関車が走ると聞いて駆けつけたのだそうだ。
さらに、撮影のためにわざわざパリからドライブしてきたという、フランスナンバーの車に乗ったファンもいた。鉄道ファン人口は、やはりチェコより西欧諸国のほうが圧倒的に多い。
やがて野太い汽笛が聞こえると、客車を何両も連ねた大型蒸気機関車がやってきた。前面に共産党時代の赤い星を付け、黒い車体に真っ赤な動輪が一際目立つ475型という機関車だ。475型は迫力ある煙を吐きながら猛然と目の前を通過していった。
こうしたイベント列車は、前述のチェコ鉄道直轄の鉄道博物館が主体となって、毎週末にチェコのどこかで行われている。イベントカレンダーをチェックし、もし日程が合えば、日本から旅行などで訪れた際、その勇姿を拝むことができるかもしれない。
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