トランプの貿易戦争が国内で支持されるワケ

3つの政治的背景、とりわけハイテク覇権

トランプ大統領は「中国への関税は予想を上回る効果を上げている」と強気(写真:ロイター/Brian Snyder)

トランプ大統領の通商政策が火を噴いている。

不公正貿易を理由とした通商法301条に基づき対中制裁を開始、7月6日に対中輸入340億ドル相当に25%の追加関税を発動した。近々160億ドル相当分にも発動する予定だ。中国がこれらの追加関税に対して報復措置に動いたため、トランプ大統領はさらに9月ごろ、一部消費財を含んだ2000億ドル相当に25%の追加関税を実施するとみられている。

安全保障を理由とした通商拡大法232条による追加関税では、今年3月の鉄鋼製品(25%)、アルミニウム製品(10%)での発動に続き、日本の製造業への影響が大きい自動車・部品(20%)での実施を検討する。

「例年、8月のワシントンは議会が夏季休会入りし、政治ニュースはネタ枯れするが、今年の8月は対中制裁の追加関税、日本との新たな通商協議(FFR)、メキシコのペニャ・ニエト政権(今年11月末まで)下で暫定合意を目指すNAFTA(北米自由貿易協定)再交渉、対米外国投資委員会(CFIUS)改革法案の成立、そして自動車・部品関税の調査報告書提出と目白押しだ」と米州住友商事ワシントン事務所の渡辺亮司氏は語る。

通商政策に関してはブレが小さい

言動が変わりやすいトランプ大統領だが、今年に入っての攻撃的な通商政策に関してはブレが小さい。そこには3つの大きな政治的背景(動機)があるため、一貫した動きとなっているのだ。それらは強力かつ永続性があるため、「今年11月のアメリカ中間選挙が終われば、トランプ大統領の貿易戦争も一巡する」との見方は、実現性が乏しい。少なくともトランプ大統領の在任期間中、貿易戦争はずっと続くと考えたほうがいいようだ。

カギとなる3つの政治的背景とは何か。それは、①政治的支持基盤への利益誘導、②貿易赤字悪玉論、③安全保障や経済的優位性にかかわる「ハイテク覇権」だ。

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