米政権、対中関税率「25%」引き上げで圧力 中国の「報復関税」発動への対抗で泥沼化も

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 8月1日、トランプ米政権は、2000億ドル相当の中国製品に課す関税について、税率を当初発表の10%から25%に引き上げることを提案していると明らかにした。(2018年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 1日 ロイター] - トランプ米政権は1日、2000億ドル相当の中国製品に課す関税について、税率を当初発表の10%から25%に引き上げることを提案していると明らかにした。

ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は、中国が米国の要求に応じず米国製品に報復関税を発動したことを踏まえ、トランプ大統領が関税率を当初案の10%から引き上げるよう指示したと明らかにした。

ライトハイザー代表は声明で「追加関税の税率引き上げは、中国に有害な政策と行動を改め、より公正な市場や全国民の繁栄につながる政策をとるよう促すため、米政権がとり得る選択肢を増やすことを目的としている」と説明した。

米政権当局者2人は電話で記者団に対し、トランプ大統領は引き続き中国側と対話する用意があると述べ、非公式の対話を通じて米中は「実りある協議」が可能かどうか検討していると明らかにした。

当局者の1人は「具体的なイベントや具体的な交渉会合について、きょう発表することはないが、対話の扉は引き続き開かれており、両国間の具体的な取り組みに向けて環境が整うかどうか見極めようとしている」と述べた。

関税率が変更されれば、意見公募の期限は従来の8月30日から9月5日に変更される。

共和党内からトランプ氏の姿勢に不満も

トランプ政権は7月10日、2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を適用する方針を明らかにし、食品や家具、化学品、鉄鋼、アルミニウムなど数千に上る対象品目リストを公表していた。

トランプ大統領は、最終的に中国製品への関税を5000億ドル以上に増やすことを示唆している。

中国外務省の耿爽報道官は8月1日の定例会見で「米国の圧力と脅迫は機能しない。もし米国が一段の措置を講じれば、中国は必ず対抗措置を取り、断固としてわれわれの正当な権利を守る」と強調した。

一方、米連邦議会ではトランプ大統領による関税計画を制限しようとする動きが強まっている。

ロブ・ポートマン上院議員(オハイオ州、共和党)の主導する上院超党派グループは同日、大統領が国家安全保障を根拠に輸入関税を課すことを制限する法案を改めて提出した。これは、米通商拡大法232条の下で議会の承認を得ない輸入関税を発動する場合、より多くの理由を条件とするもの。議会に対し、手続きを監視する権限も与える。

共和党内からも、トランプ大統領の保護主義的姿勢に不満が出ていることが浮き彫りとなった。ただ、大統領の拒否権を議会が無効にする必要が生じる見込みで、この法案が成立する可能性は小さい。

財界ロビー団体は迅速に、この法案を支持。米企業の最高経営責任者(CEO)で構成する「ビジネス・ラウンドテーブル」の責任者、デービッド・ローダー氏は「232条は、国家安全保障上の真の脅威に対抗することを意図したものだ。他国へ関税をかける言い訳に利用するものではない」と述べた。

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