ニトリの物流戦略はここまで徹底している 本業を支える分社化で独自の発展を遂げた
また、ニトリでは海外生産・調達を積極的に進めてきました。そのため輸入品の荷扱い量は20フィートコンテナ換算で年間17万本を数える規模になりました。このボリュームは、単体企業として扱う海外からの物量では、物流業界全体でみても国内最大規模になるそうです。
同社では現在、最新のシステムに裏付けされた物流のプラットフォームを確立し、組立配送という家具・インテリア業界特有のサービスを武器に、配送にとどまらない新たなサービスの展開も視野に入れています。
ショールーミングを逆手に取る「手ぶらdeショッピング」
2017年春には、EC部門(ニトリネット)がニトリからホームロジスティクスへ移管され、ECに関する広告、直販も、ホームロジスティクスが担当することになりました。
これからのECは、ネットでも実店舗でも、いつでも、どこでも、買い物ができるオムニチャネルへの対応が求められています。
また、ニトリグループが扱う組み立ての必要な大物家具、寝具、照明、インテリア、雑貨などの多くは、店頭から簡単に持ち帰ることのできない商品群。「届ける機能が欠ければ売り上げにならない」カテゴリーですから、物流機能、つまりホームロジスティクスがECおよびオムニチャネル化をコントロールするというのは、当然の成り行きだったと思います。
2016年12月に新在庫管理システムが導入され、都市型店舗にある店頭在庫と、ネット通販発送センターにある在庫情報の連動ができるようになりました。
利用客が店頭商品の自宅受け取りを希望した場合、店頭商品を使って代金の精算をしますが、実際にお客様に送る商品はネット通販専用発送センターの在庫を活用し、発送センターから直接お客様のもとへ発送します。
これまで店頭商品の自宅配送は、店頭在庫を店舗で預かり、宅配便を利用して発送する必要がありました。そのため迅速なお届け対応が難しいうえ、都心型店舗の場合、郊外型店舗と違い在庫スペースの確保が難しく、品切れを起こしやすい状況にありました。店頭とネット通販用の在庫をシステム連動させることで、店頭の品切れを防ぎ、販売機会の損失を回避できるようになりました。
この新在庫管理システム構築以降、ニトリの都市型店舗の出店がスピードアップしていくことになります。
2017年6月の「ニトリ渋谷公園通り店」のオープンをきっかけに「手ぶらdeショッピング」という新サービスが始まりました。
ニトリアプリを使って、店内に陳列された商品の専用バーコードを読み込ませると、ニトリネットと連動し、簡単に買い物処理ができるというサービスです。ビルの1階から9階までを売り場に持つ渋谷公園通り店は1510坪(約5000平方メートル)の売り場面積がありますが、お客様がカートを抱えながら各階を行ったり来たりしたり、配送手続きのためにカウンターに並ぶシーンが予想されました。
そこで売り場としての効率の悪さを、ショールーミングのスペースにするという逆転の発想で解消することを試みたのが「手ぶらdeショッピング」です。
特に家具やインテリアなどは、「商品としてきっちり陳列されたものより、おしゃれな空間の中に置かれていたほうが、お客様の買い物心を刺激する」といわれることもあり、一度に20点以上の買い物をされたお客様もいるそうです。
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