日銀が長期金利の変動容認、金融緩和は継続

8月6日からTOPIX連動のETF買い入れを増額

 7月31日、日銀は30─31日の金融政策決定会合で、物価見通しの下方修正を踏まえ、強力な金融緩和策の持続性を強化する措置を決定した。写真は日銀本店。昨年9月に東京で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 31日 ロイター] - 日銀は30─31日の金融政策決定会合で、物価見通しの下方修正を踏まえ、強力な金融緩和策の持続性を強化する措置を決定した。イールドカーブ・コントロール(YCC)政策のもとで、これまでの短期金利マイナス0.1%、長期金利ゼロ%程度の誘導目標は維持しながら、長期金利について変動幅の拡大を容認。上場投資信託(ETF)も年間約6兆円の買い入れ額を「市場の状況に応じて上下に変動しうる」と柔軟化。東証株価指数(TOPIX)連動型の購入割合を拡大することも決めた。

同時に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」において、分析期間となる2020年度までの消費者物価(除く生鮮食品、コアCPI)見通しを下方修正。物価2%目標の実現は「これまでの想定よりも時間がかかる」との認識のもと、現在の金融緩和政策の持続性を強化する一方、フォワードガイダンスの強化で目標達成への決意を表明した。

新たなフォワードガイダンスはYCCに関連させた。2019年10月に予定されている消費税率引き上げの影響を含めた「経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、現在のきわめて低い長短金利の水準を維持する」とし、物価が上がりづらい状況の中でも、物価2%目標を早期に実現するとの姿勢に変わりがないことを示した。ガイダンスの導入には、原田泰審議委員と片岡剛士審議委員が反対した。

また、政策の持続性を確保するため、長期金利目標とETFの買い入れ手法を柔軟化。長期金利はこれまでの誘導目標を維持しながらも、経済・物価情勢などに応じた変動を容認する。現在は、指定した利回りで国債を無制限に買い入れる「指し値オペ」によって、変動幅は上下0.1%に抑制されているが、それを超えた金利変動も可能としたかたちだ。長期国債の買い入れ額は、年間80兆円をめどとしつつ、「弾力的な買い入れを実施する」とした。

長期金利の誘導目標の柔軟化を巡っては、原田委員と片岡委員が反対した。原田氏は、長期金利の変動を容認することは「政策委員会の決定すべき金融市場調節方針として曖昧すぎる」と指摘。片岡氏は「長期金利操作の弾力化は『ゼロ%程度』の誘導目標を不明確にする」と主張した。

ETF買い入れは、年間約6兆円の買い入れ額を維持しつつ、「資産価格のプレミアムへの働きかけを適切に行う観点から、市場の状況に応じて、買い入れ額は上下に変動しうる」と買い入れ手法を柔軟化する。不動産投資信託(J-REIT)の買い入れについても、年間約900億円の買い入れを据え置き、同様に弾力的な買い入れを行う。

ETFは従来、TOPIXの年間2.7兆円に加え、TOPIX・日経225・JPX日経400の3指数で計3兆円を買い入れていたが、それぞれ4.2兆円と1.5兆円に配分を変える。8月6日から実施する。

さらに、日銀当座預金のうち、一部のマイナス金利が適用される残高について「長短金利操作の実現に支障がない範囲」で、現在の平均10兆円程度から減少させる措置も決めた。8月の積み期間は5兆円程度となる見込み。

声明文では、こうした変更を決定するとともに、「『長短金利操作付き量的・質的金融緩和』の持続性を強化し、需給ギャップがプラスの状態をできるだけ長く続けることが適当と判断した」との認識を示した。

*内容を追加しました。

(梅川崇 伊藤純夫 編集:石田仁志)

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