日経平均よりTOPIX重視なら何が買われる? 米ハイテク株の急落は「嵐の前の静けさ」か

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だが実際、今回中国はアメリカとの全面戦争を避け、明確に財政出動・内需拡大策をうたい、かなり現実的になって来たと言える。そろそろ超楽観的の「超」くらいはとっても、許してもらえるのではないか。すでに中国経済の内需拡大の恩恵を受けるコマツ(6301)、日立建(6305)が動意を示している。

日経平均優位かTOPIX優位かで分かれる戦略

さて、一時は13倍を超えたNT倍率(日経平均÷TOPIX=東証株価指数)が12倍台に低下している。先週、日経平均は0.1%高とほぼ横ばいだったが、TOPIXは1.8%も上昇した。7月26日(木)に至っては、日経平均がマイナス27円38銭に対しTOPIXはプラス12.3ポイントと珍しい現象も見せた。

今回の日銀金融政策決定会合では、「ETF買いの資金配分を見直してますますのTOPIX偏重になる」と言われているが、それだけではないと思う。とにかくTOPIXは出遅れた。基本はしばらくTOPIX中小型「個別株・テーマ株」だろう。そして「貿易戦争で世界経済は大きく後退する」として売り込んだ筋の買い戻しは静かにそしてじわじわ続くと推測する。実際ここ10日間、日銀のETF買いはまったく入っていない。

これは筆者の経験値からの結論だが、投資家の心構えとして、日経平均優位の時は「強い銘柄」に、TOPIX優位の時は「出遅れ銘柄」に的を絞るのが良い。

ただ、NY株でのハイテク株の下げは気になるところだ。NY株は決算発表もおおむね終わり、FOMC(米公開市場委員会)を前に金融政策の変調も見られず、相場はひとまず小休止のタイミングに入ったNY株で、やはりハイテク株の急落はあまり気持ちのいいものではない。

フェイスブック株の暴落で、一社としては過去最高の約13兆円の時価総額が一瞬で喪失し、週末のインテルは8.6%安となり、ツイッターも20.5%の暴落となっている。これほどの事態でショック安が起きないNY株の強さに感心もするが、「嵐の前の静御前」(おやじの言い回しで恐縮)かも知れないという不安もある。

それでも日本株は外国人買いが復活して、2週間で現・先物合わせ約9000億円の買い越しとなって来た。日経平均は今回の戻りで2万3000円を抜けなかったが、NT倍率の低下が表すようにTOPIX優位の展開で、こういう時は出遅れ中小型株の動きが良くなる傾向だ。この状況は個人投資家にとっては悪くない。

もし日銀金融政策決定会合で、ETF買いの話が全く出なかったとしても、出遅れ株物色の流れは変わらないと思う。今週は、3月期決算企業の第1四半期決算発表の前半のピークとなるが、ドル高円安が一服しており、なんといっても日米の金融イベントがある。さらに月末月初で、米雇用統計を始めとして経済指標も多い。さすがに全体相場は様子見ムードが強まり、決算銘柄中心に局地戦が繰り広げられそうだ。

今週の日経平均予想レンジは2万2300円―2万3000円としたい。

平野 憲一 ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト

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ひらの けんいち

日本証券アナリスト協会検定会員。株一筋約45年。歴史を今に生かすことのできる「貴重なストラテジスト」として、テレビ、ラジオ、新聞、雑誌への出演や寄稿記事多数。的確な予想で知られ、個人投資家の間には熱烈な「平野ファン」がいることでも有名。1970年に立花証券入社以来、個人営業、法人営業、株ディーラーを経て、2000年情報企画部長マーケットアナリストとして、投資家や各メディアに対してマーケット情報発信をスタート。2006年執行役員、2012年顧問就任。2014年に個人事務所ケイ・アセット代表。独立後も、丁寧でわかりやすい解説を目指す。

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