アメリカ産「豚くず肉」が直面する深い悩み 貿易戦争によって中国販路が失われる可能性
世界の2大経済大国が互いに340億ドル(約3.8兆円)相当の製品に対して関税を導入する中で、中国政府は7月6日、米国産の豚肉に対してさらに25%の関税を上乗せした。
中国による同規模の報復関税を招いた米国の関税について、トランプ米大統領は、自国が抱える年3350億ドルに上る対中貿易赤字を縮小することが目的だと述べている。
豚くず肉の輸出減少について、米農務省はコメントしなかった。
豚の後足は他の国ではほぼ無価値
中国向けに輸出される豚くず肉の収益性が高かったのは、中国の消費者がその強い風味を好むためだ。たとえば豚足を白花豆と一緒に煮込んだ「老媽蹄花」は、中国食文化の中心地の1つである四川省に由来する人気料理だ。
また、中国向けに輸出される部位のうち、豚の後足は他の国ではほぼ無価値だという。
米アイオワ州立大学で農業エコノミストを務めるダーモット・ヘイズ氏によれば、後足には食肉処理工場で豚を逆さまに吊す際につけられた穴が空いており、消費者から嫌がられるため、中国以外でこれを販売することは不可能に近いという。
「中国市場が完全に開放されているならば、中国以外の国ではほとんど価値のない後足にもかなりの値がつくだろう」とヘイズ氏は語る。