週刊東洋経済 最新号を読む(5/16号)
東洋経済オンラインとは
ライフ

苦境ジャニーズが各局に仕掛けた全方位営業 テレビの「Jr.」大量露出は先行投資か、忖度か

8分で読める
  • 木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者
2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

もう1つ忘れてはいけないのは、「テレビ局はジャニーズの忖度ばかりで情けない」「私たちの気持ちを理解していない」という視聴者のイメージ。これを一般企業に置き換えると、顧客から不信感を抱かれ、イメージダウンしていることになります。

もちろんテレビ局としては、ただ忖度しているわけではなく、「それなりの費用対効果が見込める」、あるいは「ジャニーズJr.の未来に先行投資している」という狙いはあるでしょう。しかし、現在の視聴者はテレビマンたちが思っている以上にシビア。特に忖度を思わせる意思決定には敏感であり、それを見つけた瞬間、「私たちは見くびられている」と感じ、批判の声をあげる傾向が顕著です。

そもそもジャニーズ事務所のタレントに限らずアイドルは、何かと批判を受けやすい存在。たとえば、AKB48、乃木坂46などの女性アイドルも、本業以外での活動であるドラマやバラエティに出演すると、「いらない」「台なし」などと批判されがちです。

もともとファン以外の人々から批判されがちなアイドルへの忖度を続けるテレビ局に、視聴者の風当たりは強くなる一方。ただ、そんな風当たりの強さを現場のテレビマンたちはわかっていて、私が知るだけでも「何とかしなければ」ともがいている人が何人もいます。

しかし、けっきょくチキンレースのような状態が続き、「忖度しま宣言」できないのがテレビ業界の現状。SMAPの解散、新しい地図の活動制限、TOKIOとNEWSの不祥事などを経て、今、最も視聴者が過敏になっているジャニーズ事務所への忖度をやめられないのです。

「ジャニーズJr.たちが突然プッシュされている」という現在の状況は、各局がジャニーズ事務所の全方位営業を同時に受け入れている証であり、異様な光景。長年にわたる商習慣とは言え、テレビ局とジャニーズ事務所のどちらも得しない、時代と人々に合わない戦略に見えるのです。

「ピンチこそチャンス」の大原則

ちなみに他の芸能事務所は、「忖度」という視聴者の批判を避けようと、いわゆる「ゴリ押し」「バーター」など強気のキャスティングを抑えるようになりました。個人がSNSで発信し、その声をメディアが報じる今、「好感度がどれだけ重要か」ということを実感しているのでしょう。ただ、視聴者から「忖度だ!」と批判されるキャスティングが、まだあるのも事実です。

ジャニーズは「数々の騒動で大ピンチ」どころか、各局に無名の若手グループを売り込む全方位型営業を仕掛けて、テレビ業界に根を張ろうとしていました。やり方の賛否は別にして、「ピンチこそチャンス」というビジネスの大原則を貫いている姿勢は、称えられることなのかもしれません。

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

ライフ

人気記事 HOT

※過去1週間以内の記事が対象