地下鉄銀座線の「トリビア」本当か調べてみた 「デパートが駅建設費負担」は証拠がない?
また、昭和40年代には、壁に岡本太郎の壁画を展示していたとして、壁画が写った写真資料を見せていただいた。歩いて十数秒の距離の通路の床を大理石にしたり、高名な芸術家の作品を展示したりするあたりに、日本橋のデパートのプライドを感じた取材だった。
前述の、銀座線リニューアル情報サイトの三越前のトリビアが書かれたページには、開業当初の三越前駅の写真が掲載されている。
その中の1枚に、駅の利用者がエスカレーターを使っている写真がある。三越につながる改札付近で撮影されたものと思われるが、現在の様子と比べると、エスカレーターの構造が実に似ている。
ホームから三越方面の改札口へとつながるエスカレーターは、金属の部分が金色の、他の場所では見ることができない年季の入ったもの。ベルトやコンベア部分は、安全の観点から新しいものに変わっているだろうが、基本部分は開業当時から使われているかもしれない。
こちらに関しては、まったく確証が取れなかったので、確証度はCということで。
建設時の工夫が生んだトリビア
銀座線は戦前、東京地下鉄道と、東京高速鉄道という2つの民間会社が、自ら資金を調達して作った鉄道路線。国などの補助金を得ることなく建設した裏側には、デパートに建設費を一部負担するよう話を持ちかけたり、ホームを狭くしたりするなど、建設費節約のためのさまざまな努力があったことがわかった。
残念ながら、今回の90周年のタイミングでは、そういった話を掘り下げることができなかった。だが、2028年、100周年のタイミングの際には、東京メトロが銀座線にまつわるエピソードを徹底的に調査した書籍などをきっと出してくれることだろう、と期待したい。
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