巨大フェイスブックを解体すべき本質的理由 ギャロウェイ教授が語る「対GAFA」の処方箋

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──GAFAに対し、私たちはどう向き合えばいいのでしょうか。

彼らが説明責任を果たすよう、しっかりと監視する政治家を選ぶべきだ。監視体制が機能しなければ、次のようなことが起こる。

アマゾンは現在、米シアトル本社に次ぐ第2の本社を探している。そこにシカゴ市が名乗りを上げ、同市が所在するイリノイ州の当局と共同で、20億ドル以上の税金を優遇する提案をしたという。その代わりにアマゾンは、5万人規模の雇用を含む50億ドルの投資を提供するというわけだ。

だがこんなことはあってはならない。アマゾン社員は所得税を納めるが、法人としてのアマゾンは税が控除される。学校や道路、そのほかの公共サービスに使われるべき税金が、一企業に投じられることになる。ジョージア州のストーンクレスト市に至っては、市の名前自体を「アマゾン」に変えると申し出た。事態を止める議員が必要だ。

加えて、「ヨハネの黙示録の四騎士」(西洋社会では特殊な力を持った超越的な存在のこと)のような4社がどのようなものであるかを、理解することが重要だ。

たとえばアップル。国内のテロリズムについての情報を捜査当局に提供せず、むしろその姿勢を支持する宗教じみた熱狂的ファンに支えられている企業だ。彼らはいつも他者からアイデアを盗み、「インスピレーションを得る」という常套句を使う。グーグルは、儲かりやすいネット検索市場で9割以上のシェアがありながら、訴訟とロビー活動に励み、反競争的行為に対する規制から逃れようとしている。実際の業態は広告配信プラットフォーム企業だ。

私たちはこれらの企業が善良ではないと知っていても、自らの生活に招き入れてしまっていることを自覚する必要がある。

IT巨人たちの“ウソ”を見抜け

──4社のビジネスは革新的だといえますか。

テック企業は高い志を持ち、大企業という巨大風車に無謀な戦いを挑むドンキホーテのような一匹狼であると一般的には思われているが、現実はそれほどロマンチックではない。4社はある種のペテンや知的財産の窃盗を犯してここまで大きくなった。自分たちが巨大になると、突然そのような行為に憤慨して自らの利益を守ろうとしている。

今年3月、最大8700万人分のユーザー情報流出が明らかになったフェイスブック。米連邦取引委員会(FTC)に対し、同社の解体を求める署名運動も起こっている(写真は5月1~2日にカリフォルニア州サンノゼで開かれた開発者向け会議「F8(エフエイト)」。写真:Facebook)

たとえばフェイスブックはスナップチャットのアイデアを盗用している。24時間で投稿が消える「ストーリーズ」機能はその典型だ。フェイスブックは、まるで牛を飲み込むビルマニシキヘビだ。

グーグルはニュース機能を通じ、記事に興味を持った読者を新聞などのサイトに送り込むという貴重なサービスを無料で行うとメディアに説明しながら、結果的にほとんどの収益がグーグルに流れ込む仕組みを築いた。

フェイスブックもグーグルも、以前は情報をほかの業務に提供しないとしていたが、その言葉を翻し、プライバシーポリシーをひっそりと変更した。自分の位置情報や検索結果を彼らの関連サービスに共有されたくないときは、煩雑なプライバシー設定の変更をしなければならない。

こうした企業の裏切り行為は政府の介入がなければ続いていくだろう。IT巨人たちのウソを見抜くことも、これからのデジタル社会を生き抜くための大事な能力だ。

(取材は4月下旬に実施)

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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