巨大フェイスブックを解体すべき本質的理由 ギャロウェイ教授が語る「対GAFA」の処方箋

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──まず、フェイスブックの情報流出問題をどう見ていますか?

フェイスブックについて知っておかなければいけないことがある。フェイスブックはキリスト教徒の数と匹敵するコミュニティを持っている。彼らは22億人もの月間利用者を有しており、その利用者たちを外部の攻撃から守る義務を背負っている。

『週刊東洋経済』2018年5月19日号「Facebook解体」(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

しかし、英ケンブリッジ・アナリティカ社のデータ不正利用によって、フェイスブックからユーザーの情報が流出していたことが発覚した。さらにその情報が選挙工作に利用されていた。これは現代のビジネス史上における最悪の出来事と言ってもいい。

フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO(最高経営責任者)とシェリル・サンドバーグCOO(最高執行責任者)は、問題が発覚してからすぐにはコメントを出さなかった。いったい彼らは何をやっていたのだろうか? 世界で最もイノベーティブであるとされている企業のこの現実は、悲しいうえに恐怖であるとしか言いようがない。

──フェイスブックを含めたGAFAに対し、規制を強めるべきと主張しています。

まさにそのときが訪れている。健全な競争が阻害されているからだ。フェイスブックに対しては「解体(break up)」することが望ましいだろう。ただし、解体といっても彼らを破壊せよと主張しているわけではない。たとえばフェイスブック本体や買収したインスタグラムにワッツアップをそれぞれ独立させることで、グループとしての支配的地位を弱めることができる。

世界にはサッカーファンが35億人いるといわれるが、このゲームが世の中に登場して世界人口の半分に当たるファンが生まれるまで、150年かかった。一方でフェイスブックとその関連サービスは、あっという間にその規模に到達している。

さらにフェイスブックのユーザーは平均で毎日35分間サービスを利用しており、インスタグラムとワッツアップを合わせるとその時間は50分になる。家族との時間や仕事、睡眠以外でこれほどの時間をかけるものはない。この巨大企業をそのままにしておけば、将来的にさらに踏み込んだ規制が予想される。だから、フェイスブックにとっても解体はそれを避ける予防線になる。

グーグルによる支配がもたらす恐怖

グーグルも規制から逃れられない。グーグルは人目に付きにくい検索の性質を使って、世界中のすべての情報をこっそり集めている。まず、すでにウェブ上にある情報から始め、それを管理する門番になった。その後、すべての場所(グーグルマップ)、天文(グーグルスカイ)、地理(グーグルアース、グーグルオーシャン)の情報を集めた。グーグル・ライブラリ・プロジェクトによって、絶版となっている書籍コンテンツと報道データを集め始めてもいる。

その結果、グーグルによる知識の支配が完成し、他企業の参入は極めて困難になった。グーグルの検索サービスを利用して食い物にされる側は、気づかないまま手遅れになっている。こうした状況に対し、国会と司法省がグーグルの検索エンジンを公共事業として(サービスの拡大などを)規制する可能性もあるだろう。

GAFAを規制することによって、市場に健全な競争を取り戻すことができる。GAFAの代わりに登場する新しい企業がこれまで以上に雇用や株主価値を生み、M&A(企業の合併・買収)や投資が促進されるからだ。課税の対象が広がり、高騰を誘発しているオフィス賃料も適正化に向かうだろう。

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