「同期が多すぎる」問題に20代が直面する日 大量採用の「反動」は必ずやってくる

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筆者は同様の課題が20代にも迫っていると考えます。今、各社が人手不足で大量採用が続いており、すでに組織におけるボリュームゾーン世代になっているケースも多いからです。

この大量採用が永遠に続くことはありえません。近いうちに減少に向かう会社が相当増えることでしょう。そのときに、同期が多すぎることでポストがないなどという閉塞感を感じる状況になる可能性は低くないと思います。その状況を見越して、準備を各自がしておくべきでしょう。過去の歴史を振り返っても、ポスト不足になったときに会社が何かしてくれるとは限らない、むしろその可能性は低いためです。

自分が活躍できる場所はどこにあるのか

20~60代の会社員に対して、「同期がいて良かったと思ったことはありますか?」と質問した調査で、「はい」と答えた人が約75%もいました。同期の存在自体はポジティブにとらえる人が多いようです。

確かに、同世代が同じ職場にいると、安心感があり、心地いいかもしれません。しかし、ここまで書いてきたような「ボリュームゾーン世代」問題により、将来的には閉塞感を感じる可能性が高いと思います。

その問題に苦しまないためにも、3年後ないしは5年後の自分に対するキャリアプランを考えておくことが重要でしょう。社内ないし社外において自分が活躍できる場はどこにあるのか? 好きなことややりたいことに固執しすぎることなく、冷静に自己分析をして、キャリア戦略を立てたいものです。

よく、外部環境の変化から自分のキャリアを描く人がいますが、それに加えて職場環境の変化もとらえてみてほしいのです。ボリュームゾーン世代の一員として、はたして自分が活躍できる場所はどこにあるのか。それを考えることは無駄ではないはずです。

ちなみに筆者の考える活躍とは社会人としてそれなりに稼ぎつつ、自分の果たすべき役割を担える状態になること。転職して自分に合う職場を新たに探すのか。あるいは自らが商売を始めるのか? 選択肢を多めに考えてみるべきでしょう。そのうえで自分が果たすべき役割が担えそうな道を探すのです。

世間的に広がる適職診断などで測るのもひとつの方法かもしれませんが、信頼できる関係者(家族・友人)に「自分に合う仕事は何だと思うか?」と質問をぶつけてみるのも効果的です。

筆者も若い頃に質問をしてみたことがあります。当時は営業職として職場でそれなりの成績を上げていましたが、社外の信頼できる友人に質問をぶつけると「会社を経営するべき」という回答が返ってきました。その回答が自分のキャリアプランに大きく影響をしたのは間違いありません。

同じ職場の同僚に聞けば「営業で頑張ればいい」と、現状維持プラスその延長上で、との回答しか返ってこなかったと思います。職場の同世代がボリュームゾーンであるがゆえに、その大きなうねりに流されないような「選択に幅を持った」「客観的で」「将来を見据えた」視点をもってほしいと願います。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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