駅コンビニの「生ビール」が騒動と無縁なワケ NewDaysは2016年から販売しているが…

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「駅構内で展開しているということもあり、お勤め帰りのお客様などにご利用いただいています」と、同社の広報担当者は語る。セブンの生ビール販売中止の理由の1つに「飲酒運転リスク」を挙げる見方もあったが、電車通勤者の利用が多いニューデイズならこの心配はなさそうだ。

写真は生ビールのイメージ写真です(写真:sanameina / PIXTA)

また、生ビールを販売する以前からカップの日本酒なども販売されてきたが、飲酒運転が問題になったことはないという。生ビールを購入した客は店内のイートインスペースや店の外で酒を飲むが、「お客様が泥酔してトラブルになったという話も聞いたことがない」(広報)。

また、セブンでは、生ビールの品質管理が問題視されたという見方もあるが、ニューデイズ側は、「品質管理は万全」と強調する。どのような品質管理をしているかは明言を避けたが、24時間営業のセブンと違い、ニューデイズは鉄道の運行が終わった深夜の時間帯は店を閉めるので、その間にビールサーバーのメンテナンスを行っている可能性がある。

現在の44店舗の中で最も生ビールが売れている店舗はどこだろうか。2年前の販売当初は池袋駅の店舗が最も売れていたという。現在売り上げトップの店舗名は明らかにしていないものの、「生ビールの販売数は駅利用者の規模にある程度比例する」とのことであり、生ビールを販売する44店舗の中で最も乗車人員が多い池袋駅が現在もトップである可能性は高い。

新宿駅や東京駅では売られていない

ちなみに池袋駅はJR東日本の駅別乗車人員では新宿駅に次ぐ2位だが、1位の新宿駅では生ビールの販売は行われていない。同じく上位に位置する東京駅でも販売されていない。この点については、「利用者が多い駅で必ず生ビールを販売するわけではない」としている。客層や店舗内販売スペースの状況などを勘案して総合的に判断しているようだ。

なお、東京駅では東海道新幹線中央連絡改札内の待合室でも生ビールが売られており、出張帰りのサラリーマンに大人気だ。ビールの泡がこぼれないように持ち帰り用の容器にも工夫が施されている。列車内で飲む生ビールは缶ビールとはひと味もふた味も違う。

ビール大手5社で構成されるビール酒造組合の統計によれば、日本国内のビール消費量は年々減少傾向にある。7月11日に発表された、2018年上半期(1~6月)のビール系飲料の出荷量は上期としては6年連続で過去最低を更新した。

国民のビール離れが止まらないといわれる中での今回のセブンの生ビール騒動は、生ビールを飲みたいという需要があちこちにあるという現実を浮き彫りにした。そうしたニーズを丁寧にすくい上げれば、ビール市場の縮小にブレーキをかける一助になるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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