EVだけでなく「燃料電池車」の覇権も狙う中国 「バス・トラック」で日本を猛追する

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同じ上海市で、燃料電池バスのプロジェクトも動き始めている。上海のバスメーカー、上海申竜客車が、数百台の燃料電池バスを上海市に納入する見込みと伝えられている。上海市から正式な発表はないが、上海申竜客車のホームページには燃料電池バスの写真が掲載されており、プロジェクトが進行していることをうかがわせる。

このように燃料電池を使った大型車両のプロジェクトが次々に動き出している上海だが、気になるのは、水素ステーションの整備が間に合うのか?ということである。

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商用水素ステーションは、年内に2カ所開設される予定だという。前記の「上海市燃料電池車発展計画」では、2020年までに5~10カ所、25年までに50カ所を建設する計画だ。

上述のトラックやバスは、市内の一定ルートを走るので問題ないだろうが、本格的なFCV普及を図るのであれば、整備のテンポが少し遅いような気もする。

武漢市ではFCバス3000台計画

湖北省武漢市では、燃料電池バスを市バスとして大量に導入する計画が進行中だ。「開沃・泰歌号」と名付けられた量産型燃料電池バスは、武漢泰歌水素エネルギー自動車(武汉泰歌氢能汽车有限公司)と武漢新エネルギー自動車会社が共同で開発したもので、全長8.5メートル。56人乗りで、航続距離は450キロメートルだ。

同済大学教授で武漢泰歌水素エネルギー自動車のCTOも務める馬天才氏は、燃料電池エンジンは小型で長寿命かつ適応性が高く、零下20度の低温でも始動可能。将来は乗用車にも使用され、航続距離は1000キロメートル以上に達するであろうと述べている。

「開沃・泰歌号」は、今後2年間で3000台生産され、武漢を皮切りに、上海、南京、深圳、広州、成都などに販売する計画だという。

水素インフラの整備に関しては、武漢市の資源工業技術研究所とペトロチャイナ(中国石油天然気股份有限公司)湖北支社が協力協定を締結し、向こう3年間で、ペトロチャイナ湖北支社が、武漢市および湖北省内に21カ所のステーションを建設する。また、同研究所はGEグループと水素供給協力協定を結び、GEグループの工場で発生する副生水素の供給を受けることも決まっている。

武漢市は、水素インフラ整備を早め、FCVの普及を促し、武漢市および周辺地域を水素自動車産業の集積地とする狙いがあるとみられている。

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