「松坂世代」の古木克明が引退後に追う夢 復活を遂げた松坂大輔投手に対して思うこと

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古木には、そんな現役時代の自分に重ね合わせて見守ってきた選手がいる。2016年オフに巨人から交換トレードで日本ハムに移籍した、大田泰示だ。新天地では、これまで眠っていた潜在能力を遺憾なく発揮し、移籍1年目でキャリアハイの成績を残してみせた。

今シーズンも攻撃型2番打者として定着し、打率2割7分2厘、13本塁打、47打点の成績を収めている。(注:大田は7月8日の試合で左手第5中手骨を骨折。成績は7月8日時点)

しかし、ドラフト1位で巨人に入団してから8年間は、その真面目な性格からか、“未来の4番”という日々感じる期待とプレッシャーに押しつぶされ、伸び悩んだ。そんな当時の大田に対する想いを、古木はこう振り返った。

子どもたちとハイタッチをする古木(筆者撮影)

「大田には失礼かもしれないけど、バッティングに関しては僕に似た部分があった。

同じような空振りをして、同じような三振をして、一軍と二軍を行き来するのが当たり前になっていく。いい素材を持っているのに歯がゆくて、まるで自分自身を見ているようでしたね。だから僕の中では“大田泰示を一回クビにしてくれ”って思っていました(笑)。

嘘でもいいからね。1週間でいいから戦力外体験をしてほしかったんです。そうすれば自分に足りないものは何なのかを考えるいいきっかけになると思うので。だから日本ハムにトレードで出されて、環境を変えられたことはよかったですね」

大田とはプライベートでも交流があるという。「よくBaseball SurferのTシャツを着てくれて、いいヤツなんですよ」。古木自身、逸材と呼ばれながらも“未完の大器”のまま球界を去ることになった。周りの期待に応えられなかった自分に腹が立った。だが今は、現役中に成し遂げられなかった夢の続きを、大田のバットで見ているのかもしれない。

松坂の活躍は、夢を追う活力になる

そして、この日の取材の中で特に喜びを表していたのが、やはり松坂の話題だった。同投手の動向は常に追っていたと話すほど、古木にとっては大きな存在なのである。日本球界で12年ぶりの勝利を飾った4月30日のナゴヤドームで行われた横浜DeNAベイスターズ戦も観戦しており、試合に勝った瞬間、思わず涙がこぼれた。

「本当にここまで復活できることはすごいですよ。これは大輔だからできることであって、彼じゃなかったらとっくに引退してます。同じ“松坂世代”ですし、高校時代から彼に対する想いは強かったので、勝った瞬間は本当に嬉しかった」

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