BMW MINI「最強仕様」乗ってわかった実力 ジョン・クーパー・ワークスは何がスゴいか

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サスペンションの動きはよりしなやかでシットリとした奥深さがプラスされた(写真:BMW)

ノーマルに対してJCWはより引き締められ、スポーツ志向の味付けは不変ながらも、ステアフィールは“心地よいダルさ”、サスペンションの動きはよりしなやかでシットリとした奥深さがプラスされた。また、縁石を越える際のショックもうまくいなしていたので、日常域の快適性も引き上げられているのだろう。

以前よりもコントロールの自在性が増している

その結果、今まで以上に躊躇なくコーナーに飛び込め、アクセルを踏み込めるようになったのだ。もちろん、最終的にはスタビリティを重視した安定方向となるが、そこに辿りつくまでの過程は以前よりもコントロールの自在性が増している。つまり、より人間の感覚に近づいた……と言っていい。

それはサーキット走行だけでなくパイロンを用いたジムカーナコースでも同じ印象で、今まで以上に4つのタイヤを効果的に使えるようになったことでコントロール性が高まり、クルマをよりドライバーの支配下に置けるようになった。ちなみに筆者は今回のイベント参加者中で2位となるタイムを記録(1位はわずか0.2秒差で同業のこもだきよしさん)

パワートレインは今回のマイナーチェンジでATが6速→8速に変更されているが、今回試乗した韓国仕様は6速ATのまま。滑らかさの8速ATに対してダイレクト感の6速ATといった印象を受けた。実は車両重量は韓国仕様(左ハンドル、6速AT)1310kgに対して、日本仕様(右ハンドル、8速AT)は1290kgと軽いのにもかかわらず、0→100km/h加速は韓国仕様6.1秒に対して日本仕様は6.4秒とわずかに遅いが、リアルワールドやサーキットのラップタイムは多段化によりエンジンのおいしい領域を逃すことなく使えるようになっているので速いはず。

このように新型JCWは目に見えない部分に大きな“深化”が感じられた。「より速く」に加えて「より扱いやすく」アップデートしたことで、スポーツモデルとしてだけでなくミニのフラッグシップとして選んでも満足度は高いと思う。

山本 シンヤ 自動車研究家

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やまもと しんや / Shinya Yamamoto

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車雑誌の世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の気持ちを“わかりやすく上手”に伝えることをモットーに「自動車研究家」を名乗って活動をしている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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