「ああ言えば上祐」を作った記者が語るオウム

最後までわからなかった真実

──オウム事件にはどんな謎が残されているのでしょうか。

オウム事件は、麻原がすべて指揮・命令して実行されたことになっています。しかし、その実態はよくわかっていません。

特に、早川紀代秀、井上嘉浩(ともに6日に死刑執行)、村井秀夫(95年に刺殺)らの教団幹部は、麻原に気に入られようと自分たちで勝手に実行した部分も多かった。

──事件当時、教団の幹部だった上祐史浩氏は記者会見を開き、あらためて被害者にお詫びしました。

記者会見に参加した記者たちは若い人ばかりだったので、当時のことを知らないから突っ込んだ質問がなかったのが残念でした。彼は、地下鉄サリン事件以降も一貫して「米国の陰謀だ」などと主張して、教団を正当化していました。

当時は発言があまりにもひどくて、常に「ああ言えば、こう言う」といった状態でしたから、それを私がテレビ番組で「ああ言えば、上祐」と言ったら世の中に広まりました。それほど、世の中の人は上祐の言っていることに「ひどい」と感じていたということです。

被害者にお詫びする前に、そのことを今となってどう考えているのか。そのことを語ってほしかった。

現在のオウム真理教に危険性はあるのか

──死刑が執行されたことで、残された信徒から麻原が神格化される可能性も指摘されています。警察も、報復テロなどを警戒しています。

公安調査庁はオウム真理教主流派の「アレフ」や「ひかりの輪」などに1650人の信徒がいると分析していますが、実際にそれほどの数がいるとは思えません。報復テロをするほどの力はないでしょう。ただ、麻原の神格化は進む可能性はあります。

──オウム事件はこれで終わったのでしょうか。

今の法律では死刑が最高刑ですから、実行犯たちが処刑されるのは当然のこと。ただ、取材を続けてきた記者の一人としては、麻原にもっと事件の真実を語ってほしかった。その意味では残念な思いもあります。

(AERA dot.編集部・西岡千史)

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