車内は対面の4人乗りで、車内空間を最大限確保する設計。パワートレーンは完全なるEV(電気自動車)で床下に35kWhもの大容量リチウムイオンバッテリーが配置されている。VWのエンジニアによると、車両重量は2トン未満で、充電1回あたりの走行距離は現時点で300km以上という。
自車周囲を認識する車載センサーは前後8つのレーザースキャナーと光学式カメラが担い、これにより自車周囲360度を監視する。夜間の歩行者や自転車も認識可能で、将来的にはスマートフォンのBluetooth機能を用いてセンサーでは認識できない壁の向こう側にいる歩行者などもカバー(とはいえBluetoothなので周囲3mあたりが限度か?)していくという。
実用化に向けたなかでの課題
今回、SEDRICの各バリエーションに触れ、実際にSEDRICへの同乗試乗を行えたのは非常に有意義であった。同時にMaaSとして機能を特化させ車両を独自に開発していくことや、実用化(事業化)に向けたなかでの課題も見えてきた。
MaaSとしての将来性はとても高いが、現状の物流機能へのフィッティングを考慮すると、たとえば物流では都市間輸送という意味で大型トラックとの連携が不可欠になる。また事業化にしても、事業者(社)の選定には車両の管制方法や運営方法などに高いハードルが存在する。VWでは大型トラック&バスブランドとしてScaniaやMANを有していることから、MaaSとの連動は実行に移しやすいかもしれないが、この先もVW単独でSEDRICを開発し続けていくには継続的な拡張性の担保という意味で負担が大きいように感じる。
前述のトヨタ「e-Palette Concept」は車両の大枠は自社で開発するものの、自律自動運転の制御システムであるインターフェース(中枢のソフトウエア)についてはこれを広く外部へと開示し、ほかのシステム会社が開発した自律自動運転を制御するユニットを搭載可能にしていくという。こうすることで、商用車における幅広い自律自動運転技術の普及が早期に見込めると踏んでいる。
MaaSは自律自動運転技術の実用化になくてはならない活用方法だ。その意味でVWやトヨタに続く自動車メーカーや新たなるスタートアップ企業の参入が今後も続き、周辺市場はますます活発化していくだろう。
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