VWとトヨタの商業自動運転技術は何が違うか ドイツで最新の完全自動運転車に乗ってきた

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このSEDRICには、さらなるバリエーションとして「SEDRICナイトライフ」と「SEDRICスクールバス」が用意されている。SEDRICナイトライフは主に夜間、宿泊先のホテルと繁華街にあるクラブなど飲食店との送迎を想定としたもので、車内は各色へと変色可能なLEDによるイルミネーションで彩られ、カラオケに興ずることができるよう“特注のゴールドマイク”もセットされている。一方のSEDRICスクールバスは学校に通う子どもたちの各家庭、もしくは集合場所と、学校の間を安全に移動するために設計されており、すでに子どもたちを乗せた実証実験も行われている。 

ナイトライフとスクールバス、そして前述のアクティブはいずれも、ベースとなるSEDRICの内外装に手を加えているものの、単独での自動走行状態、つまり自律自動運転が可能である点は共通している。また、アプリケーションの変更や追加によって、使い勝手の向上が図られるだけでなく、車両は1台ごとに管制システム(AIとオペレーターによる協業)によって安全な運行を目指せるという。

SEDRICの走行用プロトタイプに試乗

筆者は幸運にも、そのSEDRIC(走行用に製造された特別なプロトタイプ)に世界で初めて試乗する1人となれた。前述のように自動化レベル5の車両であることから乗員としての同乗試乗であったのだが、その乗り味は衝撃的だった。まるで熟練ドライバーのような滑らかな加減速とステアリングさばきだったからだ。

筆者とSEDRICの走行用プロトタイプ

過去に同乗試乗したメルセデス・ベンツの自律型自動運転リサーチカー「F 015 Luxury in Motion」や、同じくメルセデスの自律自動運転トラック「Future Truck 2025」、Freightliner Trucks(米国)の自律自動運転トラック「Inspiration Truck」、さらには2017年7月よりスイスのシオンで営業運転を行っている小型バス「ARMA」、日野自動車といすゞ自動車によるバス停正着(バス停と車両中扉とのすき間は45mm±15mm!)を目的とした「路線バス」などは、いずれも自動化レベル3~5の技術を有しているものの、主眼は自律自動運転技術を“世界に知らしめること”。正直、乗り味という部分では荒さが残っていた。

その点、SEDRICは2020~2025年という具体的な導入プランを見据えた技術開発というだけあり現実的で、車内にいても安心して流れゆく景色を楽しむことができた。

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