社保庁解体でとばっちり、放り出された社会保険・厚生年金病院

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北区住民が熱心に取り組むのには訳がある。北区の救急指定病院でベッド数200床を超えるのは同院のみ。民間大手や複数の大学病院を抱える隣の板橋区とは雲泥の差だ。また昨年10月には、区の中核病院だった東十条病院(350床)が突然閉鎖され(本誌07年11月3日号に詳述)、北区でお産ができるのは同院のみとなった。24時間小児救急対応を行っているのも区内では同院のみで、区の小児救急の要となっている。そのため「患者さんから『なくなるの?』『大丈夫?』『どうなるの?』と心配されるけど、職員にも『ウチは大丈夫』と告げられているだけなので、正直答えようがない」と同院の看護師は実情を語る。

宙ぶらりん状態長引き医師、看護師離れも

運営者側にも戸惑いが広がる。北社会保険病院の運営を受託している、地域医療振興協会の吉新通康理事長(北社会保険病院前院長)は「はしごを外された思いだ。産科・小児科の施設拡充、増床が喫緊の課題だが、宙ぶらりんの状態では何もできない」と言う。また「譲渡というが、購入費や固定資産税を考えると現在の形態で民間病院が運営するのは不可能。救急夜間、小児医療など不採算のものは極力やらない方針をとらざるをえない」と試算する。

社会保険中央総合病院の齊藤寿一院長も同意見だ。「資産総額3000億円ともいわれる社会保険病院を一括購入できる組織は国の現状に照らしてありえない。バラ売りとなると買い手がつくのは、いいところ5病院程度」と語る。また「日本医師会のアンケート調査でも群市区の7割の医師会が社会保険病院は地域医療にとって重要と回答している。公的な病院群として存続させる以外の選択肢はありえない」と断言する。

さすがに政府もRFOの中期計画の中に両病院の譲渡については地域医療の確保を図る観点を踏まえる旨を明記。一定の歯止めはかけられた。ただ今後の所有形態に関しては、与野党や関係者から全国健康保険協会への移管、独立行政法人の設立、自治体への譲渡などの声が上がるが、具体的道筋は決まっていない。

だが手をこまぬいている暇はない。医師、看護師不足が深刻化する中、2年後にはなくなる可能性がある病院からは、人材流出がいつ起きてもおかしくないのだ。現に二本松病院では「学校側もなくなるかもしれない病院に生徒を送り出すことには躊躇するため、看護師の採用は本当に厳しい」(看護師)状態が生じている。2年内に、などと悠長に構えている場合ではない。残された時間は少ない。

(週刊東洋経済)

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