ベビーパウダー発がん訴訟「大逆転」の顛末 控訴裁判所が2016年の評決を覆したワケ

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ジョンソン・エンド・ジョンソンのベビーパウダー(写真:REUTERS/Mike Segar)

ミズーリ州控訴裁判所は6月29日、ジョンソン・エンド・ジョンソンのベビーパウダーを含む、タルクを主成分とする製品の使用によって卵巣がんを発症したと主張する女性による訴訟について、訴訟が提起可能である場所に関する米国最高裁判決を引き合いに出し、ジョンソン・エンド・ジョンソンに対する5500万ドルの評決を覆した。

自社のタルク製品はアスベストを含んでいないと主張

サウスダコタ州の住民グローリア・リステスンドさんは2016年の評決で、損害賠償として500万ドル、そして懲罰的損害賠償として5000万ドルの裁定を受けた。

彼女はジョンソン・エンド・ジョンソンのタルクを主成分とする生理処理の製品を数十年使用したことでがんを発症したとし、また同社が消費者に対しその危険性に関して警告を怠っていたと主張した。

ジョンソン・エンド・ジョンソンは数十年に及ぶ試験によって自社のタルクを主成分とする化粧製品の安全は示されているとし、女性の主張を否定した。

ヘルスケアの複合企業であるジョンソン・エンド・ジョンソンは、同社のタルクを主成分とする製品によって卵巣がんや、また同社の製品がアスベスト繊維によって汚染されていると主張する一部の訴訟ではアスベストの暴露と密接に関わる稀ながんである中皮腫が引き起こされたと主張する約9000件の訴訟に取り組んでいる。ジョンソン・エンド・ジョンソンは自社のタルク製品はアスベストを含まず、いかなる形のがんも引き起こさないと主張してきた。

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