焦点の「OPEC総会」開催、原油価格はこう動く 協調減産の緩和なるか、識者2人に聞く

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5月に入ってから米国のガソリン小売価格が1ガロン(約3.75リットル)=3ドルを超えてしまった。国民が不満を持つ水準の価格で、政権の支持率にも大きく影響する。もともと支持率が高いわけでもないトランプ大統領としては配慮せざるを得ない。米国の圧力を受けてサウジアラビアも協調減産の一部緩和に舵を切った格好だ。

――イランはなぜ減産緩和に反対なのでしょうか。

米国のポンペオ国務長官はイラン核合意の離脱に関連して、「史上最強の経済制裁を実施する」と表明している。制裁下となれば、たとえ増産したくてもできない。仮に減産緩和し、枠が増えたとしても、その分をサウジアラビアが埋めることになり、敵を利することになる。

反対するイランの「落としどころ」

――OPEC総会の着地点はどうなるでしょう。

落としどころは、「当初の減産目標の重要性を確認する」といったような控え目な表現で、目標値までの増産を許容する”実質増産”ではないか。数字としては日量70万バレルの増産となる。協調減産の緩和に強く反対していたイランも、当初の数字を守るという話なら口を挟む余地がない。イランのザンギャネ石油相は、目標値水準までの増産については同意する可能性を示唆している。

5月の下旬以降の原油価格の調整で、OPEC等による減産の一部緩和はすでに折りこまれている。OPEC総会後に反射的に値が下がることもあるかもしれないが、緩和幅が小さいと逆に反発する可能性もあると思っている。

今後の原油価格についてはイランの経済制裁の影響などで年内に1バレル=70ドル前半になることもありえる。一方、米中の貿易摩擦で経済が減速ということになれば、原油価格が下落する展開もある。下値は50ドル後半というところだろう。

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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