焦点の「OPEC総会」開催、原油価格はこう動く

協調減産の緩和なるか、識者2人に聞く

サウジアラビアは、減産で自分だけが苦い思いをしていると考えているだろう。たとえば、OPEC非加盟国のロシアは日量1100万バレル程度で頭打ちの状態が続いている。ロシアの減産量は日量30万バレル程度にすぎず、サウジアラビアから見れば、減産幅が足りない。

しかし、原油安につながるような大幅な増産には動かないと見ている。国防費に年間600億ドルもの巨費を投じているサウジアラビアは、自国の懐事情を意識せざるを得ない。2017年に国際通貨基金(IMF)が出したレポートによれば、サウジアラビアにとって財政収支を均衡させるための原油価格は1バレル=70ドルとされている。現在はイエメンに空爆を行っているため、国防費を大幅に削ることは難しい。

――ベネズエラが生産量を落としているのはなぜか。

2015年に比べて日量で100万バレルほど生産量が減っており、足もとの生産量は日量140万バレル程度だ。設備の老朽化や新たな鉱区を見つけるための投資費用の不足が原因だ。

トランプ大統領が5月にベネズエラ政府に追加制裁を科す大統領令に署名したため、生産量は今後一段と減少する可能性が高い。どこまで落ちこむかは不透明だ。サウジアラビアなどが減少分を補うことができるかも疑問が残る。

――原油価格への影響は。

OPECの原油生産量と原油価格(WTI先物)は逆相関の関係にあり、連動している。仮に100万バレル増産すると50ドル台になる可能性がある。他にも原油価格を押し下げる要因がある。

ドル高による新興国の需要減だ。原油価格の上昇もあるが、新興国の通貨安が大きい。6月13日に米国の連邦準備制度理事会(FRB)が今年2回目となる利上げを行い、2018年の利上げは計4回になる見込みだ。今後ドル高・新興国通貨安が進み、新興国の需要が減速する可能性がある。年内の原油価格の上値は1バレル=75ドル、下値は55ドルと予想している。

米国が誘発した協調減産緩和


石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)調査部 主席エコノミストの野神隆之氏

野神隆之(のがみ・たかゆき)/早稲田大学政治経済学部卒、米ペンシルバニア大学大学院修士・仏国立石油研究所付属大学院修士・仏国立石油研究所付属大学院修士課程修了。1987年石油公団入団。2004年石油天然ガス・金属鉱物資源機構上席エコノミストを経て、2015年より現職(撮影:梅谷秀司)

――協調減産の緩和を主張するサウジアラビアの意図は?

これまで減産は基本的には守られないことのほうが多かった。だが、現在では合意した減産目標よりも1.6倍ぐらいの量を減産している。想定以上の数字だ。やはりベネズエラの生産量減が響いている。

今回の協調減産緩和の話は、サウジアラビアが米国からけしかけられて動いたという経緯がある。5月8日に米国がイラン核合意からの離脱を発表した。米国高官が発表前にサウジアラビアに離脱を伝え、原油価格の安定化に配慮するよう要請したとされている。

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