「仮想通貨業者」の低すぎる「法令順守意識」 一部の業者が「強制退場」になるのは当然だ

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ネット証券大手のマネックスグループがコインチェックを買収したことで、仮想通貨交換業の高い収益性が決算短信にて明らかとなった。その高い収益性に注目が集まり、新規で参入を考える事業者が増えたことは周知の事実だ(現状、登録申請は100事業者ほどあり、これから新規参入するには最短で半年はかかりそうだ)。

だが、その高い収益性の裏側には、仮想通貨が猛烈な上昇を見せたことと販売所を運営していたことの2つが挙げられる。仮想通貨交換業者は、取引所を運営し売買できる場を提供するほか、自己でポジションを持ち顧客と相対取引を応じる販売所を運営するケースがある。

業界の成長には証券や銀行並みの体制整備が必要

取引所運営の場合、売買の際、手数料を取らないかぎり(レバレッジ取引含め)収益を得ることはできない。一方、販売所に関しては、自己で仮想通貨を安い値段で保有していれば、相対取引で売却する際、大きな利益を生むことができるほか、取引所よりも高い手数料をオンすることで取引所運営とは比較にならないほどの高収益ビジネスを手掛けることができる。つまり自己で安い仮想通貨を大量に保有しているか、活況相場でなければ、高収益体質を維持することは難しいだろう。

2017年のように稼ぐことが難しくなったなか、コインチェックの一件で当局による規制が強まったことから、目先の高い収益性に目を奪われて参入した事業者はかなり焦ったことだろう。

内部管理体制や「アンチマネーロンダリング」(AML)、「利用者保護」といった金融業界では当たり前の体制を作り上げるには、それなりのコストがかかる。体制作りに欠かせないのは、金融出身でそのジャンルの知見を持った人材を集めるしかない。

体力のないみなし業者や、体制作りが後手に回った業者、金融を甘く見ていた業者は、こうした当たり前の準備が欠けていたと言わざるをえない。仮想通貨ビジネスは決して簡単に稼げるビジネスではない。金融商品取引法(金商法)のカテゴリー外ではあるが、体制作りには金商法や改正資金決済法、そして、今年2月に発表された「マネー・ロンダリング及びテロ資金供与対策に関するガイドライン(案)」などに準じたガバナンスが必要だと考える。仮想通貨業界は、証券、銀行並みの法令順守(コンプライアンス)態勢が必要となっていることに早く気づくべきだろう。仮想通貨交換業を手掛ける者としてもつねに意識しておかなければならないことだ。

今回の報道を受けて、ビットコインを筆頭に仮想通貨の価格が大きく崩れなかったことは不幸中の幸いである。ある程度、市場でうわさされていたことだったことも影響しているかもしれない。今回の報道を最後に、仮想通貨業界の健全化が進んでいけばと切に思う。

田代 昌之 マーケットアナリスト

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たしろ まさゆき / Masayuki Tashiro

北海道出身。中央大学文学部史学科日本史学科卒業。新光証券(現みずほ証券)、シティバンクなどを経てフィスコに入社。先物・オプション、現物株、全体相場や指数の動向を分析し、クイック、ブルームバーグなど各ベンダーへの情報提供のほか、YAHOOファイナンスなどへのコメント提供を経験。経済誌への寄稿も多数。好きな言葉は「政策と需給」。ボラティリティに関する論文でIFTA国際検定テクニカルアナリスト3次資格(MFTA)を取得。2018年にコンプライアンス部長に就任。フィスコグループで仮想通貨事業を手掛ける株式会社フィスコデジタルアセットグループの取締役も務める。

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