小田急「新ダイヤ」が解決できない根本問題 快速急行は続く混雑、小田急はどう対応?

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複々線化はなかなか難しそうな新百合ヶ丘―向ヶ丘遊園間だが、現状でも改善は行われている。以前は頻繁に各駅停車に追い付いて駅間停車を繰り返していたこの区間だが、本数が増えているにもかかわらず、徐行運転ではあるものの駅間停車はなかった。駅間停車を防ぐためのペースメーカーがついていたのだ。

この区間では、信号機の下に「45」「70」などと数字を示す電光表示機が付いている。生田駅の新宿寄りすぐのところにある信号機の下では「70」の表示を見掛けたが、それに合わせてか列車は生田まで45km/hくらいの速度を維持し、生田からを過ぎた後は70km/hくらいまで加速していた。

小田急によると、これは駅間停車を防ぐとともに、踏切遮断時間の短縮を図る目的がある設備といい、現在は新百合ヶ丘―向ヶ丘遊園間の上り線で実施している。本数が増えているにもかかわらず途中で停まらず走れるようになったのには、このような工夫があるのだ。

結局、便利になったのはどこか?

小田急はダイヤ改正の1年以上前から、引っ越しを考えている人に小田急の沿線に移ってきてもらうことを狙って、複々線化に伴う列車増発による快適な通勤ができることをPRしてきた。では、沿線のどの地域に住めば快適に通勤できると考えているのだろうか。

小田急は「今回のダイヤ改正では、混雑緩和、速達性向上、都心アクセス向上、着席性の向上を図り、沿線のどのエリアからでも快適に通勤いただけるよう、お客さまの通勤スタイルやライフスタイルに応じて、お住まいのエリアを選びいただけるものと考えています」としている。

筆者が乗車した体験を基に言うならば、特に便利になったのは比較的すいている通勤急行が使える多摩線沿線や新百合ヶ丘、各駅停車利用なら都心まで座れる向ヶ丘遊園―狛江までの区間、経堂―東北沢間の各駅といったところだろう。特に千代田線直通列車はすいている列車・区間が多いので、千代田線沿線に勤務地がある人の利便性は高まったといえる。

さまざまな課題は残るものの、複々線化によってラッシュ時の増発や所要時間の短縮が実現したことは確かだ。今後は、ここで指摘した点を含む現行ダイヤの課題に対する改善が進み、さらに利便性が向上することを期待したい。

北村 幸太郎 鉄道ジャーナリスト

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きたむら こうたろう / Koutaro Kitamura

1989年東京生まれ。2008年昭和鉄道高等学校運輸科卒業、2012年日本大学理工学部社会交通工学科マネジメントコース卒業。乗り鉄、ダイヤ鉄。学生時代は株式会社ライトレールにインターン生として同社の阿部等社長のもと、同社主催の「交通ビジネス塾」運営などに参加。

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