小田急「新ダイヤ」が解決できない根本問題 快速急行は続く混雑、小田急はどう対応?
もっと大変なのは、ラッシュのピーク時に代々木上原―新宿間で支障が生じたときである。千代田線直通の12本はそのまま千代田線に乗り入れられるとしても、残り24本の新宿行きをどうするかが問題だ。ダイヤ改正前にもこのようなことは起こりえたが、大増発を実施した今、そのようなことが起これば、代々木上原駅を先頭に大変な渋滞が発生することが懸念される。
むしろ、代々木上原を先頭に渋滞が発生した場合には代々木上原始発の千代田線の運転を一時的に取りやめ、小田急からの直通列車を千代田線に流したほうがいいのではないだろうか。だが、残念ながら小田急のすべての車両が千代田線乗り入れに対応しているわけではないため、これも一筋縄ではいかないだろう。今後、トラブル時の列車渋滞に対する対策の進化が求められる。
複々線区間はさらに延ばせるか
また、複々線の手前の区間である新百合ヶ丘―向ヶ丘遊園間についても課題は残る。この区間は複線のままだが、小田原方面や藤沢方面からの列車に加えて多摩線からの新宿直通列車も走る。今回のダイヤ改正では列車本数が増加し、ボトルネックとなっている区間だ。
この区間の複々線化についても、首都圏などでの今度の鉄道ネットワークについての指針を定める国の交通政策審議会が2000年に出した答申第18号で、2015年度までに整備着手すべき路線として取り上げられている。
これに対して小田急は「輸送サービスの向上、周辺地域の生活利便性の向上に資する効果的な施策であると認識しているが、本事業には莫大な事業費が必要であり、当社単独による整備は事業採算上極めて厳しいと考えています。将来の輸送動向なども踏まえ、引き続き検討していきます」と説明する。実際に複々線化を行うのか、実施するならどのような形で進めていくか、特に費用負担の面でどのような仕組みを作っていくかが課題となるだろう。
なお、複線区間における本数の増加やスムーズな運転を実現する案として、停車駅を交互にする「千鳥停車」ダイヤを導入せよとの意見もある(東洋経済オンライン2018年4月17日付記事「小田急『複々線後』の新ダイヤは十分ではない」参照)。この手法を新百合ヶ丘―向ヶ丘遊園間や、同じく複線のままの代々木上原―新宿間などで実施することは考えられるかと小田急に尋ねたところ、「停車パターンについては、お客さまへの案内面が難しく今後の研究課題とさせていただきたい」との回答があった。やはり案内面での不安が大きいようだ。
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