株主総会で「人事案」の行方が注目される会社 機関投資家が厳しい目を向けている

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こうした企業の総会では役員選任の是非が問われる。見逃せないのは、会社側の人事案に、機関投資家が反対票を投じる可能性が高まっている点だ。

銀行や保険会社といった機関投資家は、顧客から預かった資産の一部を株式で運用している。保有額は、主要市場の総時価総額に対し3割弱もあるが、これまで経営方針に異を唱えない「物言わぬ株主」の代表格だった。

そこで、金融庁は2014年に機関投資家の行動規範をまとめた「スチュワードシップ・コード」を公表。「目的を持った対話」(エンゲージメント)を通じて、投資先の企業価値を高め、顧客の利益の拡大を求めた。2017年5月には一部内容を改訂し、株主総会の議案に対し、議決権の行使結果を個別に公表するように促した。

不祥事に対しては「個別審議で判断」

これを受け、機関投資家も2017年夏ごろから賛否の開示を始めた。機関投資家は長期運用が柱であるがゆえ、「エンゲージメントを通じて、改善を図るのがスジ」(大手生命保険会社の担当者)。ある証券系の運用会社は、不祥事に対しては「程度や企業価値への影響、再発防止策などを勘案し個別審議を行って判断する」という。そのうえで両者とも、改善がなければ反対票を投じる構えだ。

総会直前の6月11日、三菱マテリアルは竹内章社長が代表権を返上し、会長に就く人事を公表した。会社側は経営責任の明確化に加え、「機関投資家との対話も考慮した」と説明する。

金融庁は3月、企業による持ち合い株式についても、保有目的や議決権の行使状況の開示を新たに求めた。

安定株主が減り、機関投資家も反旗を翻し、会社提案の役員人事が総会で否決される、そんな日が遠からず訪れそうだ。

松浦 大 東洋経済 記者

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まつうら ひろし / Hiroshi Matsuura

明治大学、同大学院を経て、2009年に入社。記者としてはいろいろ担当して、今はソフトウェアやサイバーセキュリティなどを担当(多分)。編集は『業界地図』がメイン。妻と娘、息子、オウムと暮らす。2020年に育休を約8カ月取った。

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