米朝会談の水面下で北朝鮮の「サイバー攻撃」

サイバー空間で暗躍し続けた政府系ハッカー

米NSAは2013年、この攻撃について「2012年8月に発生したサウジアラムコに対するイランの破壊的サイバー攻撃は、多くのパソコンの内部に保存されていたデータを破壊した。これまでイランを見てきたNSAの見解でも、イランによるここまでの攻撃は過去に例がない」と、内部文書で報告していた。

イランのハッカーたちは、2017年にもサウジアラビアの別の石油会社をサイバー攻撃し、制御システムをコントロールして爆破させようとした。結果的に爆破は阻止されたが、この攻撃にはロシアが協力したとの報道もある。

さらにイランは、米ウォール街の企業に対して激しいサイバー攻撃を続けてきた実績があるし、2015年にはラスベガスのホテルなどを経営するユダヤ系不動産開発会社「ラスベガス・サンズ」をサイバー攻撃して騒動になった。また米国内にあるダムなどのインフラのシステムにもハッキングで侵入を成功させていたことが判明している。

日本も無関係ではない。イランの精鋭軍事集団である革命防衛隊の協力団体は、2013年から世界中の320の大学や米政府機関、国際機関などを狙ったサイバー攻撃を実施しており、そのターゲットには日本も含まれていたことが後に判明している。

とにかく、トランプ大統領は核合意からの離脱によって、寝た子を起こしてしまったようだ。2002年に米政府がイランの銀行に対する強力な経済制裁を発表した後も、米国にある多くの銀行が、イランによるDDos攻撃の被害に遭っている。今後も、核合意の後に大人しくしていたイランの政府系ハッカーらによるサイバー攻撃が増加することは間違いないだろう。

人材補強が賢明

北朝鮮やイランの問題は、サイバー空間にもその余波が広がっているのである。どちらの問題も、これからさらに交渉や調整などが続けられることになるだろう。結果的に、関係が今以上に険悪になったり、小競り合いになる可能性も十分に考えられる。

そうなれば、米国やその同盟国に対する攻撃や工作が頻発し、今以上にサイバー空間が騒がしくなるだろう。今のうちから、米国機関やセキュリティ企業が人材の補強を行っているというのは、賢明な動きなのかもしれない。

(文:ジャーナリスト 山田敏弘)

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